
(C) 2016「聖の青春」製作委員会
製作年:2016年
製作国:日本
日本公開:2016年11月19日 (丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか)
上映時間:2時間4分
配給:KADOKAWA
原作: 大崎善生
監督: 森義隆
キャスト
村山聖☆松山ケンイチ
羽生善治☆東出昌大
江川貢☆染谷将太
橘正一郎☆安田顕
荒崎学☆柄本時生
村山伸一☆北見敏之
橋口陽二☆筒井道隆
村山トミ子☆竹下景子
森信雄☆リリー・フランキー
他
【ストーリー】
幼少期から難病を患う村山聖は、入退院を繰り返す中で将棋と出会い、15歳で森信雄に師事する。10年後、名人になる夢をかなえるべく上京した聖(松山ケンイチ)は周囲に支えられながら将棋に全力を注ぎ、七段に昇段したころ、同世代で名人のタイトルを獲得した羽生善治に激しいライバル心を抱く。さらに将棋に没頭する聖だったが、がんが彼の体をむしばんでおり……。
【感想】
相変わらず将棋なんかチンプンカンプンに違いないおばさんばかりの試写会だった。
自前当選はならず、美女様のお誘いで観に行くことができた。
観終わって、「振り駒」のことを聞くと、何をやっているのかわからなかったとのこと(笑)
やはり、将棋や将棋界の仕組み、村山九段のことを知っている人と知らない人では理解度も感想もまったく違ってくると思う。
左隣のおばさんは風邪ひいているのか四六時中鼻をすすっていた。
うるさくてしかたなかったがそのうち静かになった。すぐに寝息をたててご就寝。
いびきがうるさくてまいったが鼻はすすらなくなった。
風邪ひいているのに訳もわからず将棋の映画なんか見に来るな迷惑だなと思った。
映画はもちろん1998年8月8日に膀胱がんで死去した村山聖九段の実話がベース。
大崎善生氏の原作では、村山九段と師匠の森信雄七段や弟弟子との物語がメインだった記憶がある。
映画版の焦点は、どちらかといえば羽生名人との闘いがメインにすえられていた。
地方での対局後、村山九段が羽生名人を誘ってふたりで酒をくみかわす。
あのシーンは原作にあっただろうか?読み返さないとわからないがたぶんなかった。
が、実際には、あのような会話がきっとあったのだろう。
将棋や村山九段に興味がある者にとってはすばらしいシーンと会話になっていた。
上記シーンの前に指されていた将棋は、1997年2月28日に指された竜王戦1組の闘い。
後手村山九段の7五飛が妙手。
以下 6六銀 7四飛 7三角成 同飛 5二銀 同玉 3二飛成 にたいし
7一飛 と引いた手がすこぶるつきの妙手。
これで先手の攻めを完封して村山九段が勝った名局である。
羽生名人と村山九段最後の対局はアレンジされていた。
あの将棋は1998年2月28日のNHK杯戦決勝である。
わたしはテレビ観戦して、いったいどうしちゃったんだ?と思った。
先手の羽生名人が3二飛成と指した局面。
ここでは、7二歩 と指せば村山九段の勝ち。
映画のように、深夜を過ぎての対局でもないのに、7六角と大悪手を指してしまった。
そのため、8二銀不成 6一玉 7三桂不成 とされて「九仞の功を一簣に虧いた」
18年前の対局だが、加藤一二三九段VS大山康晴名人戦の8八金と並ぶ大悪手として今でも鮮明に覚えている。
など、色々思い入れのある者とそうでない者では全くモノの見方が違うであろう。
羽生先生に見えている世界は全く違うのである。
染谷将太が演じる江川貢が、明らかに詰んでいるのに時間を最後まで読まれるまで投了できなかったシーン。
鼻血のシーンも涙が出そうになった。
将棋一筋で10年以上もがんばってきて、その道を断たれる。
しかも自分ひとりの責任で誰のせいにもできない。
そういう厳しい世界だからこそ、棋士の産み出す棋譜は美しいのである。
この記事へのコメント
yutarou
まっつぁんこ
でも、泣かなかったでしょ?
私は、江川三段が対戦相手の少年に8八角と打たれて詰まされたシーンでぐっときた。
ただの敗戦ではないのです。
ふじき78
個人的には対となる天才・羽生善治の強さのバックボーンもちょっと見たかった。
まっつぁんこ
羽生さんのバックボーンは研究してください
将棋に興味を持つ人が少しでも増えることを祈っております。