NHK杯戦佐藤和俊六段VS村山慈明NHK杯


今週のNHK杯戦は準々決勝第3局。
羽生三冠を倒して勝ち上がった佐藤六段と村山NHK杯の対局で解説は阿久津主税八段。

二転三転の熱戦の末、最後は佐藤六段が再逆転。

初手からの指し手

5六歩 8四歩 7六歩 6二銀 5八飛 8五歩 7七角 4二玉 4八玉 1四歩 3八玉 1五歩 2八玉 5二金右 6八銀 3二銀 5七銀 3一玉 5五歩 7四歩 5六銀 7三銀 6五銀 6四銀 同銀 同歩 5四歩 同歩 同飛 6三金 5九飛 5四歩 7八金 7三桂 6六歩 9四歩 3八銀 3四歩 7五歩 8四飛 6五歩 4四銀

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佐藤六段の中飛車に村山NHK杯が居飛車で対抗するのは予想通り。
見たことのない進行から、佐藤六段が 7五歩 6五歩 と攻勢。
ちょっと軽いかなと思ったが、6五歩と角交換を目指したのに対し4四銀と打ったのがよくなかった。
6四歩 同金 6二歩 と と金作りを目指して振り飛車が指しやすくなった。

とは言っても簡単ではない。

4四銀以下の指し手

6四歩 同金 6二歩 7五歩 6一歩成 5五歩 4六歩 1三角 6八角 6五金 4五歩 3五銀 6二と 6四飛 5三銀 5四飛 5二と 同金 同銀成 同飛 7四歩 5三飛 7三歩成 同飛 7七桂 5六金 
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この局面で阿久津八段は4八桂を推奨。
以下 6七歩 7九角 7六歩 6五桂 7五飛 の進行が予想され先手良しはかわらない。

佐藤六段はより直接的な手を選択。
こちらでも振り飛車良しは同じ。

5六金以下の指し手

2五桂 2四角 6五桂 6三飛 5六飛 同歩 7七角 6五飛 2二金 4二玉 3二金 同玉 1一角成 6九飛成

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阿久津八段は3五角 と銀を取って5四銀の方を推奨。
佐藤六段の選択は5六飛と切って7七角。
6九飛成とされた局面はやはり振り飛車良し

6九飛成以下の指し手

5五香 3一金 5三香成

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単に5五香が悪手で3一金と受けられて逆転。
しかたなく5三香成としたがここで2二銀と受けられたら後手の逆転勝ちだったであろう。

5三香成以下の指し手

4七桂 同銀

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単に2二銀と打てばいいのに4七桂を打って只取りされた。
読み筋は当然4九龍のはずだが後手玉は詰んでしまう。

① 2二金 同金 同馬 同玉 1四桂 3一玉 2二金 4一玉 5二銀

② 4四桂 同銀 4三成香 同玉 4四馬 でも詰み

アマがぼんやり見ていても気が付く詰み筋である。

4七同銀以下の指し手

2二銀 

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4九龍は詰んでしまうので村山NHK杯はここで2二銀と受けた。

この局面では、4一銀 と打つ決め手があった。

同金は2二馬 同玉 1四桂 1二玉 2二金 で詰み。

同玉とするしかないが、3三桂打 同桂 2二馬 で受け無し。
3三桂打ちに3二玉は2一馬 同金 4二金 まで。

4七桂と桂を渡したので即死手順が生じた。

2二銀以下の指し手

同馬 同玉 4三成香 1二玉 1四桂 6六角 2二銀 同金 同桂成 同角 3二金 3一銀 2一金 

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4一銀を逸して2二同馬としたため再逆転。
阿久津八段指摘のとおり、3二金には6六角が詰めろ逃れの詰めろで勝ち。
2一金とされたこの局面でもまだ後手の勝ち。

4九龍としておけば逆転勝ちだった。

2一金以下の指し手

同玉 3三桂打 同角引 同桂成 2四飛 2二成桂 同銀 3二金 1二玉 2二金 1三玉 3三銀 7八龍 5八歩 2五飛 3二角 3一桂 1六歩 同歩 同香 1五歩 同香 同飛 2三金 同桂 同角成 同玉 3二角 まで129手佐藤六段の勝ち

2一金を取ってしまったのが最後の敗着。
3三桂打ちとされてはご臨終である。
何度も逆転して面白い将棋だった。

この記事へのコメント

  • やまかん(^^ゞ

    この将棋は終盤(▲5六飛)から見たのですが手に汗握る終盤で面白かった。
    △4七桂打これが村山NHK杯の最後の失着かと思っていたが、▲2一金に△6六角で再逆転していたとは、つくづく指運がなかったかと思う将棋でした。
    2017年02月26日 19:12
  • まっつぁんこ

    やまかん(^^ゞ さん
    人間の将棋は終盤の悪手が醍醐味(笑)
    正確無比は無味乾燥に通じる?と思います。
    2017年02月26日 21:45

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