
(C) 2016Twentieth Century Fox
英題:HIDDEN FIGURES
製作年:2016年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年9月29日 (TOHOシネマズ シャンテほか)
上映時間:2時間7分
配給:20世紀フォックス映画
監督・脚本: セオドア・メルフィ
キャスト
キャサリン☆タラジ・P・ヘンソン
ドロシー☆オクタヴィア・スペンサー
メアリー☆ジャネール・モネイ
ハリソン☆ケヴィン・コスナー
ミッチェル☆キルステン・ダンスト
スタッフォード☆ジム・パーソンズ
ジム・ジョンソン中佐☆マハーシャラ・アリ
他
【あらすじ】
1960年代の初め、ソ連との宇宙開発競争で遅れを取っていたアメリカは、国家の威信をかけて有人宇宙飛行計画に乗り出す。NASAのキャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、メアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)は、差別や偏見と闘いながら、宇宙飛行士ジョン・グレンの地球周回軌道飛行を成功させるため奔走する。
【感想】
この映画は、ドリームを描くものでも、アポロ計画を描くものでもない。
原題のとおり HIDDEN FIGURES についての話である。
邦題「ドリーム 私たちのアポロ計画」にいちゃもんがついて“私たちのアポロ計画”がとれて“ドリーム”になったけどタイトルと内容が違うことに変わりない。
いちゃもんは、描かれているのがアポロ計画ではなく人類初の有人宇宙飛行を目指す「マーキュリー計画」を中心に描いているから。
それなら「ドリーム 私たちのマーキュリー計画」とすれば良さそうなものだが、残念ながらマーキュリー計画なんか知っている人はいない。
今となってはアポロ計画だって知らない人の方が多いだろう。
この映画「ドリーム」のことなんか描いていないから、タイトルと内容が違うことに変りはないのになぜいちゃもんつけないのだろう?
世の中不思議な閑人に満ち溢れている。
再掲するがこの映画は HIDDEN FIGURES を描いた映画である。
HIDDEN FIGURES とは何か?
文字通り、隠された数字で間違いなかろう。
それでは、隠された数字とは何か?
ネタバレかまわないという方のみ以下におすすみください。
映画の内容にふれています。
キャサリンは1918年生まれ。
1953年からヴァージニア州ハンプトンにあるラングレー・メモリアル航空宇宙技術研究所でNACAの計算係として勤務。
(1958年にNACAはNASAに置き換えられる。)
宇宙特別研究本部長ハリソンの元でロケットの軌道を数式立てて計算している。
他の研究員は全て白人男性。
トイレもコーヒーポットもColoredは隔離されているのである。
Coloredのトイレはキャサリンの勤務地から800mも離れた西棟にしかない。
ある日ハリソンから離席が多いことをとがめられたキャサリンは、そのことを伝え一日に何回かトイレに行くくらい良いではないかと訴える。
その後ハリソンはトイレに表示されたColoredの看板を撤去。
ようやくNASAから隔離が撤廃される。
史実は、NACAがNASAに置き換わった時にそうなったようだ。(笑)
キャサリンは、上司であるスタッフォードの計算の検算を命じられる。
ばさっと渡された書類は黒塗りだらけ(どこかの国の役所の公開文書みたいだ)。
いったいどうやって検算しろというのか?
ロシアとの宇宙開発競争で後れをとっている研究の先端現場でそんな差別が行われていた。
それがHIDDEN FIGURES のテーマである。
結局傑出した能力を持つキャサリンを認めざるを得ない状況におちいるのだが。
キャサリンがジョン・グレンの搭乗するフレンドシップ7の計算を終えるころ、電算機が台頭し、先見の明があるドロシーが電算室長に昇格。
部下30人のColored女子を連れて電算室に乗り込んでいく。
わりとさらっと描かれていたがたいへんな苦労があったことだろう。
トイレでミッチェルとドロシーが遭遇し、ミッチェルはドロシーに彼女を管理職にしなかったことを謝罪し
“黒人女性の監督能力に偏見はないし、いつもあなた方にとって最善のことをしてきたつもり”
だと述べる。
それに対しドロシーは
“わかってる。あなたがそう信じていることは。”
短いシーンだけど印象的。
フレンドシップ7発射の日、コンピューターの計算結果が昨日と違っていることが発射直前に発覚。
宇宙飛行士ジョン・グレンはキャサリンによる計算を要求する。
その結果をふまえて無事ロケットは発射される。
無事に地球のまわりを周回後大気圏突入をめざす直前にアラーム点灯。
非常事態でもたよりになるのはキャサリンの計算だった。
テーマは重いけど他の要素もいろいろ加えて明るく楽しめる作品になっていた。
おすすめ。
この記事へのコメント
ノラネコ
他の国の映画にはあんまりありませんよね。
これも結構きつい話なのに、彼女たちの明るさ、ポジティブさに救われました。
FORTRANは今も現役な様です。
まっつぁんこ
日本の隠蔽体質とは違いますね。
「臭いものに蓋」英語の格言あるのかと思って調べたらCover up what smells badが出てきたけど直訳じゃないか(笑)と思いました。
ノルウェーまだ~む
トイレでのミッチェルとドロシーの会話は本当に印象的だったですね。
まさにこのように無意識化で差別発言をしている人多いのだと思います。「正しい事」というのは意識的に行って行かなくてはいけないのでしょうね。
まっつぁんこ
ミッチェルとドロシーの会話の字幕はちょっとニュアンスが違っていたと思います。
たしか“勘違いしないで。偏見はないわ”みたいな字幕。
時々なんだそれというような字幕が出ることありますね。
差別は人間のDNAに組み込まれているのでなくならない。
「正しい事」の方が生物としてはむしろ邪道なのかもしれません(^^)/
クマネズミ
「hidden figures」ですが、確かに、「隠された数字」を表しているのでしょうが、もう一つ、「隠れた人たち」(より具体的に言えば、原作の邦訳版の副題「NASAを支えた名もなき計算手たち」でしょうか)をも表しているように思われます。それはともかく、おっしゃるように、「この映画「ドリーム」のことなんか描いていない」のは全くそのとおりだと思います。
まっつぁんこ
「hidden figures」はダブルミーニングらしいですね。
わたしは黒塗りの書類がとにかく印象的でした。
「ドリーム」なんて邦題つけるものだから、最初は、年を重ねたシュープリームスみたいな黒人女性三人組グループがアポロシアターでの公演開催をめざす映画かと思いましたよ。
mig
単純なドリームなんてタイトルつける配給会社にセンスの無さと
売るきあるのかと文句言いたいです
こうなったら毎度邦題やめてそのまま行けばいいのにー
まっつぁんこ
20世紀フォックスにしては珍しく観客は入っているのでは?(^^♪
命名も宣伝もセンスないのに僥倖というやつですね。
onscreen
まっつぁんこ
たしかに!
ふじき78
まっつぁんこ
お客が入って良かったです。
忌避されてがらがらになるリスクもあったことでしょう。
内容が良くても観客が入らなければどうしようもないです。
ふじき78
まっつぁんこ
あの部分は脚色だと思うけどいいんじゃない(笑)