
原題:Az állampolgár
製作国: ハンガリー
製作年: 2016年
上映時間: 109分
監督: ローランド・ヴラニク
キャスト
ウィルソン☆ケイク=ベイリー・マルセロ
マリ☆アグネス・マール
シリン☆アグハバン・シェカリ
警官☆ヴィクター・ノエ
【あらすじ】
難民としてアフリカの祖国からハンガリーに逃れてきたウィルソンはスーパーの警備員として働きながら、日々、市民権を得るための試験勉強に励んでいた。彼を献身的に支える教師マリとの間に次第に恋愛感情が芽生えるも、とある事情により別の女性を家にかくまっていたことが発覚する。職場における偏見や、マリとの関係のこじれによって失意に暮れるウィルソンに、ついに試験の結果が知らされる。良き市民であろうともがく一人の難民が迫られた決断とは―。
【感想】
難民映画祭で観劇。
昨年は“海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~”と“女を修理する男”の2本を観劇。
今年は3本応募して“市民”しか当たらなかった。
それなのに来てみたら空席がたくさん。当てるだけ当てて来ない人がいっぱい。(>_<)
映画は、難民問題というよりは、難民と平和に過ごしている一般市民の越えがたい意識の差を描いていた。
マリは難民への偏見はないが、そのせいでかえってひどい目にあう。
ウィルソンは50代後半のアフリカンでハンガリーに難民として流入。
スーパーの警備員として働きながらハンガリーの市民権獲得のため勉強している。
独学では試験突破は難しく、スーパーの店長の姉マリに教わることになる。
マリもウィルソンと同年代で、夫とふたりの息子がいる。
ここが共感しにくいところだが、マリがウィルソンに勉強を教えているうちに恋仲になってしまう。
夫と成人した息子がふたりいるのに家を出てウィルソンと同棲を始めてしまう。
いくら恋は盲目とはいえ、こんなことってあるのだろうか?
そこに攪乱要素シリンが登場。
彼女はイランからハンガリーにやってきて不法滞在。
妊娠していた彼女は産院に行くこともできずウィルソンの助けで出産。
そこにマリがやってきて4人で同居することになるのである。
マリからみれば、子連れのシリンは邪魔以外のなにものでもない。
彼女を救うため奔走するウィルソンを理解することができない。
そこで、マリは一般市民としては当たり前の行動をとるのである。
その行動がみんなを不幸にしてしまうわけだが、なんとも言えない後味の悪さである。
いったいどうすればいい?
日本の難民認定比率は各国とくらべ際立って低く0.3%だ。
政治的な理由でなく経済的な理由で申請してくる者が多いのだと政府は理由を説明する。
が、諸先進国にくらべ百分の一と低すぎる認定率の合理的説明にはなるまい。
色々な問題について考える契機としては良い作品であろう。
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