棋楽訪問は二回目。
14時10分から15時40分が対局時間。
そのあと渡辺和史四段昇段の一局の解説。
さらに、渡辺先生と先崎先生の早指し将棋が予定されていました。
渡辺先生は6面指しで、そのうちお二方は女性。
隣で指した女性はなんと飛車落ちで挑戦。
そんな方は初めてみました。
他の三名は男性。
冒頭、先崎先生から、三段リーグを抜けることを、相撲で関取になることに例えていかにたいへんで目出度い事であるかを強調した挨拶。
タイトル取るのは目出度いが三段リーグを抜けるのにくらべればどうでもいい(笑)
たしかにそうだと思います。
渡辺先生には今回も角落ちで挑戦。
結果は、いいところなく惨敗。
作戦はいつも通り中飛車。
この局面が序盤早々の勝負どころ。

私は以下 5七銀 と指してしまったので、6四銀 6六銀と進行してやや指し難くなりました。
7三銀と指されたのは初めて。
中飛車にしてあとは自力で勝負。
体系的に指し方を研究しているわけではない。
感覚の悪さが出てしまいました。
ここは 6六歩 と “歩越し銀には歩で対抗” でいくべき。
本譜同様 6四銀 なら6七銀として、7五歩 なら 6五歩 を用意する。
序盤からペースを握られる悪い展開にしてしまいました。
さらに、ここで 4五歩 と位を取られるのが嫌で 4六歩 と突いたのが悪手。

以下
4二金直 4八銀 7五歩 5九角 7六歩 同金 4五歩 同歩 4六歩 2八玉
と進行して大きな拠点を作られてしまいました。
それでもまだ負けというほど悪くなったわけではない。
が、悪い流れが決定的になりました。
最後の敗着は下図。

6四と 同金 同金 5九歩成 で負けが決定。
まだしも 4四金 同銀 7四銀 とでもしてから 6八角 とすべき。
ただで 5九歩成 と角を取られてはダメ。
以下なんとか形を作らせてもらい詰められました。
今までの角落ちは9勝4敗
5敗目は今までで一番強さを感じさせる負かされ方。
色々な作戦があるものです。
さすがに若い先生の指し方には工夫があってとても勉強になりました。
角落ちはあまり良い定跡書がない。
まだ15局ほどですが、中飛車については結構網羅できてきた気がしていた。
が、まだまだだなぁと反省させられました。
14時10分に対局が始まり6面全てが終わったのは16時近かった。
小休憩をはさみ渡辺先生が昇段の一局を自戦解説。
8月15日に指された三段リーグ16回戦の川村悠人三段との一局。
渡辺先生が勝ち、競争相手が負けて昇段決定。
ご本人はこの一局で決まるとは思っていなかったので普段通りだったとのこと。
戦型は角換わり。序盤のかけひきの説明が興味深かった。
川村三段は右玉が得意とのこと。
右玉は端(9筋)が弱いので、6七金左と上がり7八玉と寄った。

狙いは、8八銀 と引いて 7七桂 と跳ね、地下鉄飛車で端を狙う。
それを察知した後手は驚愕の一手を放つ。
6三銀を持ったのでどうするのかと思ったら・・・
7二銀と引いたのにはびっくり。
との解説が面白かった。

以下進行して、決め手があったのが上図。
4一歩成 同飛 2三角 で決まっていた。
3三銀 がこわいが、3二角成 4八飛成 が王手にならないので2一飛成とできる。
これなら 6八銀 と引いた手が効果を発揮して早い決着だった。

4六角と据えて6四歩 6二金 と楔を打ち込んだ局面まで、先崎九段の無茶ぶりでお客の若い女性が聞き手を務めていた。
この局面で、香川愛生女流が急遽参戦して聞き手交代。
すぐに次の一手 7七桂 を言い当てる。さすがである。
以下進行して下図となる。

川村三段は、この8一飛を後悔。
8五桂とすべきだったとのこと。
その心は、7七銀と上がられてしまったから。
続く 9五銀 が敗着。4七歩とすべきだった。

7三桂成 同玉 5五桂 がうまい決め手。
6四玉 なら 4三桂成。
金をはがされては受けが利かなくなった。
以下の指し手
5四桂 6三桂成 同金 同歩成 同玉 7三金 5二玉 7二金 4七歩 8一金 4八歩成 9一角成 6六歩 7三馬 6七歩成 同銀 4二玉 7一飛 4一金 4四歩 6一歩 同飛成 5一金打 4三香 同金 同歩成 同玉 4四歩 まで
その後も、7一飛 や 4四歩 など参考になる寄せが出る好局でした。
解説終了が17時近くだいぶ時間押し?
次は、先崎九段と渡辺四段のおっさんず?バトル。
の予定でしたが、渡辺四段と香川愛生女流の、なんと10秒将棋になりました。
こちらもざっと紹介。
戦型は先手渡辺四段の居飛車と香川女流の三間飛車。
渡辺四段は左美濃から穴熊にこもった。

この形は、アマチュアなら先手必勝。
唯一の対抗策は、4二角 と引いて 4五歩 に 3四飛 と浮き、4四歩 同銀 4五歩 3三銀 とするくらいだと私は思います。
香川女流は 1四歩 と突いたので 4五歩 4二飛 と進行。
この形は遅かれ早かれ振り飛車つぶれ。
実際予想通り穴熊圧勝の流れになりました。
参考になったのは次の局面。

実戦でよく飛んでくる 7七歩 の手裏剣。
同金直とはとりにくい。
迷ったあげく 同馬 と取ったりして攻めが遅れる。
同金左と取るものなんですね。
以下 順当に 9五歩 で終局。

9五歩 のところは 8五桂 同歩 8四金 同玉 7六桂 で詰みでしたが、なにしろ10秒ですから。
よく10秒でこんな将棋を指すなといたく感心しました。
終局は17時20分。
その後はサイン会。
参加者は10名でしたが、ほとんどの方が色紙や扇子への揮毫を所望。
わたしも渡辺先生の色紙をゲットしました。


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