NHK杯戦 羽生善治九段VS斎藤明日斗五段

今週のNHK杯将棋トーナメント羽生善治九段VS斎藤明日斗五段の戦いは久しぶりに面白かった。
AIの評価値が何度入れ替わったか分からない(笑)

序盤は無定型な力戦から後手の斎藤五段が戦機をとらえ端を強襲。
優位に立った。
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さすがに羽生先生の顔面受けはムリがあったのではないだろうか。
9七角成以下
同桂 9六歩 8八玉 9七歩成 同玉 8五飛 8六銀 6五飛 6六歩 6四飛 4五歩 5五歩 4四歩 5四銀 5五歩 同銀 5三歩
と進行。
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この局面で後手が 4二金右 と指すと評価値は後手から先手に振れる。
かといって 5三歩 をとると 4五桂 と飛ばれてややこしいので寄るくらいだと思う。
AIはどの手が正解だというのだろう(笑)
5三歩以下
4二金右 7五銀 9五香 9六歩 9四飛 8五角
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8五角 と飛車銀両取りに打たれた局面は後手が悪そうだ。
7六角でも悪そうだし、何が悪かったのだろう?
9五香 のところは 9六歩 として、同玉なら 9五香。
9五香 を 同玉 なら 8三桂 で良し。
8六玉 なら 8二香 を打ってから飛車を逃げておけば良かったようだ。

8五角以下
9六香 8八玉 9八香成 7七玉 7四飛 同銀 同歩 7一飛 6二玉 8一飛成 7二銀打 9一龍 5六歩 7九角 8一香 7三歩 同玉 9三龍 6二玉 7三歩 6五桂
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7三歩 を二度も利かされて困ったかなと思ったところで 6五桂 が飛んでくる。
AI評価値は先手良しだが気持ち悪い局面だ。
6五桂以下
同歩 6六銀打 8六玉 7五銀 9六玉 9五歩 同龍 8三銀 6七桂
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6七桂 で評価値大逆転。たしかにこれは悪い手にみえる。
6七桂以下
8四銀引 5五桂 9五銀 同玉 8四銀 8六玉 8五銀 7七玉
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龍と角二枚の大駒を取られてだんぜん悪そうだが後手玉には詰めろがかかっていてまだ難しかった。
この局面からは
7六飛 6七玉 5七歩成 同玉 6六角 4七玉 4八角成 同玉 7八飛成 6八銀 とすすめて後手が勝ちやすかった。

7七玉以下
5三金 4三歩成 5九角 6七玉 4八角成 と進行。
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この局面はまだ難しい。
以下の進行
5三と 7一玉 6三桂不成 8二玉 5六玉
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この局面で 6六飛 と打ったのが敗着。
AI評価値は先手に大きく振れてそのまま終局を迎えた。
7六飛 4五玉 7八飛成
または 5八飛 5七銀 と合い駒請求してから 7六飛 とすれば難解な局面が続いただろう。
5六玉以下
6六飛 4五玉 3七馬 4六銀 5八飛 3七銀 5六飛成 4四玉 4三歩 同と 4二歩 7二歩成 同玉 6四桂 8二玉 3二と 6五飛 5四金 5三歩 同玉 まで161手で羽生九段の勝ち

終盤は難解な局面が続き、斎藤五段にも勝機があったが羽生先生の粘り強い指し手に屈した残念譜。

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