次もまた難しい作品。
2010年4月号
大12入選10回 南あわじ市 中山芳樹氏
なんとなく解図意欲の湧かない初形(ゴメン)
手の付け方が難しい。(これは中山氏作共通か)
1一銀 は 1三玉 と逃げてくれれば詰むが 1二玉 とかわされて詰まない。
1一角 、1四桂 も 1二玉 でダメ。
1三銀 も 同桂 と取ってくれれば詰むが 同玉 でダメだ。
最後に 3三銀 と打ってみるが 同桂 で全然詰みそうにない。
詰まないじゃないか!
考えあぐねて最後にダメ元で 3二と と寄ってみる(笑)
色々な応手がある。
① 1二玉
1三銀 同玉 2五桂 同角 2四銀 同玉 4六角 2三玉 2五龍 3二玉 4四桂 3三玉 2四龍 4二玉 7五角 4三玉 5三歩成 まで
② 1三玉
2五桂 同角 2四銀 同玉 4六角 2三玉 2五龍 3二玉 4四桂 3三玉 2四龍 4二玉 7五角 4三玉 5三歩成 まで
③ 2三玉
3四銀 同角 1四銀 同玉 3四龍 1三玉 6三飛成 1二玉 2三龍 1一玉 2一と まで
④ 同玉
4一飛成 同角 2四桂 2二玉 1二金 3三玉 3四銀 2四玉 2五龍 まで
⑤ 同銀
3四桂 同角 3一角 3三玉 2四銀 同玉 3五銀 2三玉 3四龍 1二玉 3二龍 同金 3四角 2三香 1三銀 1一玉 2二銀成 同金 同角成 同玉 2三角成 同玉 2一飛成 3三玉 4五桂 4三玉 5三歩成 まで
3二と に対し 同金 以外は詰むことが分かった。
同金 以下 3一飛成 を掘り下げる。
3一飛成 に対し逃げる手は簡単に詰むので 同金 しかない。
ここで 1三銀 と打つと 同桂 は 1一角 1二玉 2四桂 2三玉 1二銀 1四玉 2三銀打 2四玉 4四龍 3四歩 3三角成 まで。
取らずに逃げる手は簡単に詰むので 同玉 しかない。
以下 2五桂 同角 2四銀 1四玉 2六桂 2四玉 4六角 3三玉 3四歩 2二玉 1三銀 同桂 5五角 と進行する。
5五角 に対し 2三玉 と逃げると 3三歩成 1二玉 4二龍 3二歩 2二と 同金 同角成 同玉 3三金 1一玉 3一龍 2一歩 2二金 で詰んでしまう。
そこで4二龍 を防ぐため 4四歩 と中合することになる。
中山氏作では、このような中合が出てくることが多い。
以下4四歩を同角と取って上記手順に準じた収束となる。
4四歩 同角 2三玉3三歩成 1二玉2二と 同金 同角成 同玉 4二龍 3二飛 3三金 1一玉 1二歩 同飛 同龍 同玉 3二飛 1一玉 2二金 まで39手詰。
本作の解答者は37名で誤解6無解13 A10 B5 C2無評価1平均2.47。
斎藤氏「普通は13銀から考えるが、32と、同金と守りを堅くしてしまうような導入には意外性がある」
武田氏「初手がわからずあきらめムード。32とに同銀が詰んだので再考」
氏の作品はいつも序盤がヤマ、しかもそれが高いことが多いですね。
野口氏「変化を読まなければ指せない46限定角+44歩合を含めて難解だけではない精緻な手順です」
加賀氏「収束例の筋になるが、中合も入り成功。解後感のよい作」
神谷氏「細かい変化を読まされながら、とにかくスッキリとした収束には辿り着いた、解き終えてみると、これといった爽快感もなく、ただ疲れ果てたという気持ちだけが残った」
担当の平井氏「ただ難解なだけで終わるのではなく、何らかのテーマを持った作品であってほしいところです」
みなさん結構辛口である。
美点もあると思うがこの作品も評点は低めだった。
なお、初形にある 4二と を持ち駒金にすると 初手 3三銀 で余詰め(他の詰め方、3二金でも詰み)
4二と を 4二金 と換えても作意同じのようだ。
どちらが良いかはよく分からない。作者はと金を選択したということだろう。
ほかに理由があるのかもしれないが。
To be continued ⑨
この記事へのコメント
解答欄魔
収束はあとからここになだれ込んだものだとすると、中盤以前に遡るしかないが、この手という好手が見当たらないような気がする。
初手32とで詰んでいる、それがスタートではないかと思う。
まっつぁんこ
たしかに本作は初手を越えるインパクトのある好手は出てきませんね。
それが低評価におわった要因でしょうか。