次の2作は短大で発表された作品。
2011年2月号
短8入選11回 南あわじ市 中山芳樹氏
前作とは打って変わって簡素形で解図意欲の湧く初形。
ひとめ 4三角 と打ってみたい。
4三角 に対して合駒は6種類。
たとえば 3二歩 なら 1一桂成 同玉 1三香 1二桂 同香成 に 3四角成 として詰む。
ところが 4三角 には3四角成 を防ぐ 3二香 で詰まない。
4三角 がダメで持ち駒の銀を打つ手も戦力不足で詰まないことがすぐにわかる。
だとすると 1一桂成 くらいしか手が無いが考えにくい手である。
1一桂成 以下 同玉 1三香 と進行する。
合駒は5種類ある。
① 1二飛
同香成 同玉 1三銀 同玉 2四角打 1二玉 1三飛 2一玉 1二銀 3二玉 4二角成 まで
② 1二金
同香成 同玉 1三銀 同玉 2四角打 1二玉 1三金 2一玉 1二銀 3二玉 4二角成 まで
③ 1二銀
同香成 同玉 1三銀 2三玉 2四銀成 1二玉 1三銀 2一玉 1二銀打 3一玉 5三角 4一玉 4二角成 まで
④ 1二香
同香成 同玉 1三香 2三玉 2四角成 3二玉 5四角 4一玉 4二銀 5二玉 6三銀 6一玉 5一銀成 7一玉 7二銀成 まで
⑤ 1二桂(作意)
同香成 同玉 1三銀 同玉 2四角成 1二玉 3四角 2三香 同角成 同歩 1三香 2一玉 2二銀 同玉 3四桂 3一玉 4二馬 2一玉 1一香成 同玉 3三馬 1二玉 2二馬 まで27手詰
冒頭4手を読み切れば正解にたどりつけるだろう。
担当の石黒氏「渡辺竜王(当時)が最近感心した作品と噂の一局。紛れがかなり手強い」
本作の解答者は62名で誤解6無解16 A28 B11 C0無評価1平均2.71
とかなりの高評価を得た。
今川氏「この簡素な好形配置から27手の好手順。上手い」
中沢氏「簡素な初形から難解な手順。初手から外しっぱなし」
氏の作品はいつもわりと形は簡素だと思います。
続いての作品
2012年4月号
短17入選12回 南あわじ市 中山芳樹氏
また、パラっとした配置でいかにも解きにくそうな初形。
持ち駒が無いので大駒を活用するしかない。
となれば、一番遠くにいる馬を動かすのが筋というものだろう。
6二馬 と王手してみると 1八玉 は 1六飛 と回られて簡単に詰む。
手順は 1六飛 2九玉 3八銀 3九玉 1九飛 2八玉 2九飛 1八玉 1四飛 まで。
2八玉 も 3八飛 1九玉 1六飛 2九玉 2六飛 1九玉 3九飛 1八玉 1六飛 1七馬 まで。
2七玉 も 3八銀 1八玉 1六飛 2八玉 1七馬 1九玉 1八馬 まで。
余詰めのはずもなく(笑)うまい受けがある。
中山氏作ではよく飛び出す中合である。
2六桂 と中合すると以下
同馬 1八玉 2七馬 同玉 2四飛 3七玉 4九桂 4七玉 5七馬 3八玉 3六飛 4九玉 3九飛 で詰む。
入玉形だから桂を捨てる方が良さそうなところ。
正解は 2六歩 の中合となる。
2六歩 同馬 に 2八玉 は 4六馬 同香 3八飛 1九玉 3七馬 2九玉 2八馬 で詰むので 1八玉 と逃げることになる。
4六馬 と捨てる手が 6六飛 の活用を図るうまい手で作意にも出てくる。
以下 1九歩 同玉 4六馬 とすすむ。
同香 に 6九飛 と飛車を活用。
6九飛 に対する合駒は、作意では銀。
角でも可の非限定となっていて、減価事項ではある。
6九飛 以下の詰手順は
2九銀(角)同飛 同玉 3八銀 3九玉 2八銀(角)同玉 2七馬 3九玉 4九銀 2九玉 3九飛 同玉 3八馬 まで23手詰
担当の石黒さんもふれているが、2九角 と合駒した場合は、2八角のところ1七角として合駒をかせぐ手が成立。
これはかなり味が悪く減点項目となるだろう。
手順は最後に飛車も捨ててピッタリと決まっているだけに残念。
本作の解答者は52名で誤解2無解15 A14 B18 C2無評価1平均2.35
上記非限定がひびいたのか低評価に終わった。
小林氏「無駄駒なく、全駒きれいに捌けて、解いて楽しい作品でした」
詰鬼人氏「2手目の変化が悩ましく、19歩から46馬で筋に入った感じ」
今川氏「少ない駒数の配置から、合駒を主体とした巧妙な手順が続く」
なお、担当の石黒さんは初手 3五馬 の紛れが大変と書かれているが、3四飛 の利きを遮る手なので第一感6二馬。
6二馬 でどうしてもダメだったら最後に考えると思います。
To be continued ⑩
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