詰将棋雑談/中山芳樹氏⑩

次はふたたび難解作。
2012年5月号
大15入選13回 南あわじ市 中山芳樹氏
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たしかに角さんのおっしゃる通りドローン攻撃が必要に見える初形😆
金打ちや 1三桂成 は全然ダメそうだから遠くの馬を 8九馬 と動かすしかなさそうだ。
受けは色々ある。
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まずは2三への合駒
① 2三歩
1三桂成 同玉 4六馬 3五歩 同馬 2四金 同馬 同歩 3三龍 1四玉 2三馬 2五玉 1六金 同玉 3六龍 1七玉 2七金 1八玉 1六龍 まで
② 2三香
同馬 同玉 3三桂成 同玉 5五馬 2四玉 3三馬 2五玉 3四龍 2六玉 4四馬 2七玉 3八金 1六玉 1七香 まで
③ 2三桂
同馬 同玉 3三桂成 同玉 5五馬 2四玉 3三馬 2五玉 3四馬 2六玉 3五馬 1六玉
3六龍 1五玉 2六龍 1四玉 2四龍 まで
④ 2三銀
同馬 同玉 3三桂成 同玉 5五馬 4二玉 3三龍 4一玉 4三龍 4二龍 5二銀 3一玉 2二金 同龍 4一龍 まで
⑤ 2三金
同馬 同玉 3三金 2四玉 3四金打 1四玉 1三桂成 同玉 2三金寄 1四玉 2四金 まで
2三に合駒すると詰むことがわかった。
逃げたらどうか?1一玉 は頭金で詰み。
① 2一玉
2二金 同玉 5五馬 同龍 3三龍 1一玉 1二馬 同玉 1三桂成 1一玉 2二龍 まで
したがって 2二玉 も詰む。
次に 5六に合駒をする手を考える。
その前に 4五 や 3四 に捨て合いをする手は有効か?
いずれも 同馬 と取り 2三 に合駒することになる。
5六の合駒は2三同様5種類もある。
① 5六歩
同馬 同龍 2二金 同玉 5五馬 2一玉 2二馬 同玉 3三龍 1一玉 1二歩 2一玉 1三桂不成 1二玉 2四桂 1一玉 3一龍 まで
② 5六香・5六銀・5六金
5六歩の時と同様に同馬と取って詰み。
③ 5六桂 (作意)
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5六桂 の時のみ同馬では詰まない。
他の攻めを考えるが 1三桂成 しかない。
1三桂成 同玉 7九馬
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8九馬 の時と同様に 2四 への合駒と 6八 への合駒の2か所の検討が必要。
まずは2四合駒
① 2四歩
  同馬 同玉 4六馬 1四玉 3四龍 1五玉 2四龍 1六玉 2七金 まで
② 2四香・2四銀・2四金
同馬 と取って歩合いと同様に詰む。
③ 2四桂
  同馬 同玉 4六馬 1四玉 3四龍 1五玉 2四龍 1六玉 2七金 まで
2四合は詰むことが分かったので次に6八合駒を検討する。
① 6八香
同馬 同桂成 4六馬 3五歩 同馬 2四銀 同馬 同玉 1五銀 同玉 3五龍 1六玉 3六龍 2六歩 2七金 1五玉 2六龍 1四玉 1五香 まで
② 6八銀・6八金
同馬 同桂成 2四銀(金)同玉 4六馬 2五玉 3六龍 1四玉 2四金 1五玉 2五金 まで
③ 6八歩(作意)
同馬 同桂成 4六馬 3五歩 同馬 2四銀 同馬 同玉 1五銀 同玉 3五龍 1六玉 3六龍 2六歩 2七金 1五玉 2六金 1四玉 2五金 2三玉 3四龍 1二玉 2四桂 1一玉 1二歩 2二玉 3二桂成 1二玉 1三歩 1一玉 2二成桂 同玉 2三歩 2一玉 1二歩成 同玉 3二龍 1三玉 2二龍 まで45手詰
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どうやら作意らしい手順を発見した。
が、まだ 6八桂成 と成り捨てて 5七 に合駒する手が残っている。
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6八桂成 同馬 で 5七の合駒は5種類。
① 5七歩
4六馬 3五桂 同馬 2四銀 同馬 同玉 1六桂 1五玉 3五龍 1六玉 3六龍 2六歩 2七金 1五玉 2六龍 1四玉 1五歩 1三玉 1四銀 1二玉 2三銀成 2一玉 2二成銀 まで
② 5七香
4六馬 3五歩 同馬 2四銀 同馬 同玉 1六銀 同玉 3五龍 1六玉 3六龍 2六歩 2七金 1五玉 2六龍 1四玉 1五歩 1三玉 5七馬 同龍 1四香 まで
③ 5七桂
4六馬 3五桂 同馬 2四銀 同馬 同玉 1六桂 1五玉 3五龍 1六玉 3六龍 2六桂 2七銀 1七玉 2六龍 2八玉 3八金 1九玉 1七龍 まで
④ 5七銀
同馬 同龍 2五桂 2三玉 3三桂成 同玉 5五馬 2三玉 3三馬 1二玉 2二金 1三玉 2三馬 まで
⑤ 5七金
4六馬 3五桂 2四金 1二玉 4五馬 3四歩 同馬 2一玉 1三桂 3一玉 8六馬 5三歩 4三桂 4二玉 3三馬 5二玉 5一馬 6三玉 7三飛 5四玉 5三飛成 4五玉 4六歩 同玉 7三馬 4七玉 3七龍 5八玉 5七龍引 6九玉 6八龍 まで
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最後に厄介な変化を詰ませて先ほど発見した45手の手順が作意だろうと推定できた。

この作品もドローン攻撃から合駒と中合が飛び出して最後はきれいに詰みあがる作者らしい作品。
やや煩雑でややこしいが読み切ることは可能。
そのため二桁の正解者が出ているのだろう。
担当の利波氏「本作の価値は序盤が全てだと思う。13に玉がいる時に46馬とどこかで王手しなければならないのだが、35桂合 同馬 24桂合 とされると、大抵の場合詰まない。ところが馬が68に居れば57歩合とした時のように59馬と指せて詰むのである。そこで89馬~79馬と寄っていくことになる。ここで56桂合~79馬とした時の受けが本局のハイライト。先ず68歩合いとして作意を先に解いてしまった後で、59馬で詰まないようにするため、68桂成 同馬 57金 とするのが最強の変化手順で、ここで46馬 35桂合 同馬 24桂 は詰まないので、不詰と思われた解答者が多数出た。ところがこの変化、35桂合を取らずに24金とする大妙手で詰んでしまうのだ。という訳で作意はアッサリ風味の68歩合で以下は軽快な詰み。構成としては全くアンバランスで成功しているとも言い切れないが、これはこれでありだと思う。」
本作の解答者は34名で誤解3無解5 A13 B10 C2無評価1平均2.44
と低評価に終わった。
今川氏「序の10手が特に難しい。よくまあ、こんな序が付けられるものです」
竹中氏「最初の方が難解なだけという印象・・・・」
野口氏「序を抜けると易しくも楽しい詰物」
オレの名前も全題正解に載っているので解いたはずだが覚えていません😆

To be continued ⑪




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