有り、触れた、未来




有り、触れた、未来@ブロードメディアスタジオ試写室
有り.jpg

制作年:2022
制作国:日本
日本公開:2023年3月10日
上映時間:2時間12分
配給:Atemo

監督・脚本☆山本透

キャスト
佐々木愛実☆桜庭ななみ
里美結莉☆碧山さえ
里見文子☆手塚理美
里美健昭☆北村有起哉
本堂真治☆杉本哲太
佐々木有美子☆仙道敦子
安田朋絵☆原日出子
野上咲良☆鶴丸愛莉
吉田光一☆松浦慎一郎
吉田悠二☆宮澤佑
吉田若菜☆金澤美穂
宮本祥子☆岩田華怜
丸岡哲☆谷口翔太
大島蒼衣☆舞木ひと美
遠藤翔☆高品雄基
須藤昇☆高橋努
瞳☆麻生久美子
市村隆司☆淵上泰史
若い医師☆入江甚儀
柴田トレーナー☆萩原聖人

【あらすじ】
元バンドマンの女性(桜庭ななみ)は事故で恋人を失っていた。がんを患う女性(仙道敦子)は娘の結婚式へ出席したいという願いを胸に、一分一秒でも長く生きたいと闘病を続けている。自然災害で家族を亡くした女子中学生(碧山さえ)は、自殺願望を抱くようになる。少女の父親(北村有起哉)は妻と息子を亡くしたことで生きる希望を失っていたが、娘のためにも生きていくことを決める。

【感想】
製作者の意気込みが伝わってくる力作。
東日本大震災がモチーフとはなっているが普遍的な時と共に色あせることのない物語となっていた。
学校などで上映してみんなで考えて議論すると良い。
道徳の教科書なんかよりよほど良い学びとなるであろう。

映画は邦画が不得意な群像劇である。
たくさんの人物が出てくるが有機的につながっていた。
とはいえ、大きな軸は二組の親子・家族である。
ひとくみは桜庭ななみ演じる佐々木愛実の親子。
彼女は元カレを事故で喪っている。

それはおいておいて(笑)もうひとつがメイン。
津波で父・妻・息子を喪くし酒びたりになっている里美健昭。
その母文子と娘の結莉、三代の家族。
中学生の結莉は三者面談をしなければならないのだが、父親は酒びたりでムリ。
二者でお願いしますと云うのだが認められない。
結局祖母の文子が三者面談にのぞむのだ。

事情をきいた学年主任の「学校と連繋してがんばってなんとかしましょう」
という言葉に文子は「先生は地元の方ではありませんね」
と言って結莉を退出させる。
そして要するに、「息子の里美健昭だって生きているだけで十分に頑張っている」ということを言うのである。
これは、本当に当事者でないと絶対わからない。
たしかに、酒びたりになったとしてもやむを得ないだろうと思わされた。
まわりの運よく悲劇にあわずに生きている人が軽々しくガンバレなんて言える話ではない。
「がんばろう日本」なんてスローガン掲げるだけであとは自助でなんとかしろ!
そんな国ではいけないのではないかと思って涙が出た。

結莉の担任は佐々木愛実の婚約者。
彼は、愛実の二つの喪失をささえ、さらに結莉の問題にも真摯に取り組む真面目な男である。
そんな彼に支えられて愛実たちは結末のイベントにむけて疾走。
みごとな大団円へのつながるのである。
重いテーマをさいごは前向きな気持ちにつなげるエンディングへと展開させていた。
Very Good!

この記事へのコメント