HOW TO BLOW UP

HOW TO BLOW UP@日比谷コンベンションホール
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制作年:2022
英題:HOW TO BLOW UP A PIPELINE
制作国:アメリカ
日本公開:2024年6月14日
上映時間:1時間41分
配給:SUNDAE

監督・脚本・プロデューサー☆ダニエル・ゴールドヘイバー

キャスト
ソチトル☆アリエラ・ベアラー
テオ☆サッシャ・レイン
ローワン☆クリスティン・フロセス
ローガン☆ルーカス・ゲイジ
マイケル☆フォレスト・グッドラッグ
アリーシャ☆ジェイミー・ローソン
ショーン☆マーカス・スクリブナー
ドウェイン☆ジェイク・ウェアリー

【あらすじ】
大学生のソチ(アリエラ・ベアラー)は、石油精製所にほど近い有害物質に汚染された地域での異常熱波により、母親を亡くしていた。大学で環境NGOに所属する彼女は、なかなか改善されない環境問題への対策に不満を募らせていく。より過激な行動計画を立てたソチは、同級生で環境ドキュメンタリー制作に携わるショーン(マーカス・スクリブナー)と共に、大規模な作戦を実行できる仲間を集めようとする

【感想】
環境破壊に人生を狂わされたZ世代の環境活動家たちが、石油パイプラインを破壊する大胆な作戦を敢行する。
ソチは大学で環境NGOに入っているが漸進主義的な取り組みでは進展の見られない状況に不満を募らせている。
彼女は同級生で環境ドキュメンタリーを製作しているショーンと共に作戦を実行する仲間を集める。
様々な背景を持つ8人がテキサス州西部の人里離れた納屋に集結する。

掘削業者に居留地を奪われたネイティブ・アメリカン血を引くマイケルがキーパーソンのひとり。
独学で爆弾を作ることができる彼がいなければこの作戦は成立しない。
爆発物の制作や雷管その他装置の制作が詳細に描かれて緊張感を高める。
いちど失敗してこれで映画は終わりかと心配になるシーンがあった。

彼らのミッションは難易度が高い。
パイプラインの破壊に成功しても、石油が大地にぶちまけられて環境破壊を起こしては本末転倒だからだ。
そのためにバルブを閉じて送油をストップするプロセスが加わった。
このタスクを担当したのがローワンとローガンのペア。
二人はエコテロリストのカップル。
ローワンはテロ行為で検挙され情報提供をバーターに保釈中。
このふたりは攪乱要素でストーリーの緊張度を高め複雑にしている。

首尾よくパイプラインの破壊に成功したとしても問題は撤退である。
巨大資本に抵抗する弱小勢力がなんのお咎めもなく逃れられる可能性は低い。
そのあたりもうまくおさまるエンディングで感心した。
結構重大な問題提起の含まれた題材をエンタテインメントの高い映画に仕立て上げていた。

また、舞台となったアメリカ西部の広大さにも圧倒される。
日本のような狭くてどこに行っても人の目のある国ではこんなストーリーは成立しえない。
あれだけ広大な土地がありながら、環境破壊の影響が出るところにエネルギー施設が建設されている。
環境や健康や生態系の保全よりも経済・金が優先されるのが人の世だ。
そろそろ人間の活動も、評価の軸を根本的に変えなければいけないのではないかと考えさせられた。

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