2度目のはなればなれ

2度目のはなればなれ@東宝東和試写室
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制作年:2023
英題:THE GREAT ESCAPER
制作国:イギリス
日本公開:2024年10月11日
上映時間:1時間37分
配給:東宝東和

監督☆オリヴァー・パーカー

キャスト
バーニー☆マイケル・ケイン
レネ☆グレンダ・ジャクソン
アデル☆ダニエル・ヴィタリス
若き日のレネ☆ローラ・マーカス
☆ウィル・フレッチャー

【あらすじ】
2014年の夏。老夫婦のバーナード(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)はイギリスの老人ホームで余生を過ごしていた。ところがバーナードはフランスのノルマンディーへと旅立ってしまう。バーナードが行方不明になったというツイートを警察が発信すると世界中で話題となるが、レネは夫が必ず帰ってくると信じていた。

【感想】
今日は7年ぶりに東宝東和の試写室に出かけた。
前回観たのはは「僕のワンダフル・ライフ」
本日の演しものはマイケル・ケイン91歳の引退作「2度目のはなればなれ」
英題はThe Great Escaper
英題は内容にピッタリだが邦題は今ひとつピンと来ない。
映画の内容はたいへん良いだけにもう少しアピールできる付け方はなかったのか?と思った。
そのままグレート・エスケイパーで良かったのかも知れない。

映画は実話がベースとなっている。
映画の冒頭でマイケル・ケインが演じる主人公バーニーは押し車を押しながら海岸べりを散歩。
珈琲スタンドで飲み物注文の順番を待っている。
前の若者がはけて順番が回ってくると仲間の若者が自転車で前に割り込んでくる。
傍若無人なふるまいに何の抵抗もできない。
昔の「パラダイス・ナウ」の上映でハニ・アブ・アサド監督が「普通映画は事件の無い所に事件を作り出すが、パレスチナではパン🍞を買いに行くのも事件」と言っていたが、90歳の爺さんが散歩するのも事件なのが良く分かる描写だった。

そんな爺さんがグレートエスケイプを起こす。
Dデイ70周年記念イベントへの申し込みが遅れてしまったバーニー。
祈念式典に参加することはできない。
ところがバーニーはホヴの老人ホームを早朝に脱出。
ブライトンへのバスに乗り遅れるがタクシーでフェリー乗り場にたどり着く。
フェリーで知り合った元空軍の退役軍人の好意でノルマンディー、ウイストリアムでの宿や記念式典の参加チケットを手に入れる。

二人ともダンケルクでのトラウマ体験がある。
バーニーは、恋人への手紙を託された戦友が目の前で戦死。
空軍兵は自分の爆撃で実の弟の死を招いた疑いからアルコール依存。
二人は記念イベントへの参加券をバーで知り合ったドイツ退役兵に譲って戦死者が埋葬されている墓地バイユーに向かう。
二人はそこで戦友の墓や弟の墓に詣るのである。
そのころイギリスでは90歳の爺さんのグレート・エスケイプが大きく報道されていて・・・・

老人が主人公の映画はつまらないコトが多い。
本作は至る所で笑いが起きていた。
そんな軽妙さの中にしっかりと反戦メッセージが込められていた。
まさにシニア世代にピッタリの好作。
シニア料金の価値は間違いなくあると思います。

それにしても、海外は実話ベースでこのような戦争体験に基づいた秀作が常に制作され続ける。
しかるに邦画は?
あまりにも情けない気がする。
もっと気合いれて何度でも戦争体験をモチーフにした考えさせられるところがありながら軽妙な映画を撮って欲しいものだ。

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