第83期順位戦A級7回戦渡辺明九段VS永瀬拓哉九段

昨日(2月21日)戦われた順位戦A級渡辺明九段VS永瀬拓哉九段戦はすごい戦いだった。
終局は日付をまたいだ22日の1時1分。
手数も173手の多きを数えた。
これで渡辺九段は成績を4勝4敗としてA級残留決定。
永瀬九段は一歩後退の5勝3敗となった。

序盤は永瀬九段がうまく指してリード。
69手目の 3五飛 に永瀬九段は 3三金 とした。
ここは 3三桂 が良かったようで先手が盛り返した。
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以下ねじり合いが続き終盤を迎える。
4三香 に 5二金 とかわした118手目の局面におけるAIの推奨手は 7六歩 や 7七桂。
以下桂を手に入れて 3三桂打 を決め手としてねらう。
渡辺永瀬2.png

渡辺九段の選択は 2二歩 同金 4一香成 同玉 2二馬。
そのため 5八歩成 同玉 4五香 の勝負手をくらって振出しに戻った。
渡辺永瀬3.png

渡辺九段は 4三歩成。以下 4八香成 同玉 4三銀 と進行した。
渡辺永瀬4.png

この 4三銀 が悪手で渡辺九段優勢に戻った。
ここは 4三飛 と飛車で取っておけば形勢互角。
以下 4四香 同飛 同馬 4二香 は長い戦いになりそうだ。
4三銀 以下は 6七金上 が好手。
4七歩 3八玉 5七銀 2三馬 と進行。
渡辺永瀬5.png

永瀬九段は 3二銀 と受けたが 3二角 の方が粘れた。
3三桂成 4八歩成 3七玉 3三桂 同馬 と進みそう。
3二銀 以下 4五香 5一玉 2四馬 3三桂 同桂成 4八歩成 3七玉 3三銀 同馬 同飛 2一飛成 3一桂と進行。
渡辺永瀬6.png

この局面では 4二金 以下手数の長い詰みがあった。
4二金 同金 同香成 6二玉 6三銀 以下30手以上かかる。
4二銀 と打って 6二玉 に 3三銀成 は実戦的にうまい指し方だった。
4二銀 同金 同香成 の進行は以下 6二玉 に 5四桂 と打って手数は長いが 4二金 以下の詰みよりは易しい。
4二銀 以下 6二玉 3三銀成 4六角 2六玉 6六銀不成 2五玉 2三歩 同成銀 4三角 と進行。
龍取り詰めろの角打をくらった。
渡辺永瀬7.png

ここで 6一飛 がうまい返し技。
7三玉 と逃げられたらどうするんだ?と思いながら観戦。
7三玉 には 8五桂 と打って詰みだ。
7二玉 には 7三歩 と打てば良い。
以下 同玉 3一龍 5一歩 4三香成 と進行。
2四角、4四角 と詰めろ逃れの詰めろが何回も出現したがさしもの大熱戦も大団円をむかえた。
渡辺先生は2戦連続で膝の痛みのため対局途中で投了。
最後まで指せるのか心配したが深夜に及ぶ熱戦を制してA級残留を決めた。
永瀬先生は本局健闘及ばず残念だった。
最終戦も両先生の健闘を期待して終わります。

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