第75回NHK杯将棋トーナメント準決勝第1局藤井聡太七冠VS増田康宏八段

本日放映されたNHK杯将棋トーナメント準決勝第1局藤井聡太七冠VS増田康宏八段は面白かった。 またまたやってくれました〜 1:99(詰みあり)の局面からの大逆転。 25角成 に対し 24桂 同歩 13香 同玉 53飛が逆転技。 全然ダメの局面から集中力切らさずに一瞬のチャンスを捉える正確さには驚愕する他ありません。 8九龍 に対する97手目藤井七冠の 8八銀 がたぶん悪手。 8八金 と普通に受けておけば優勢が保てていたと思う。 以下6九角 7七玉 7一香 7二歩 同香 4一銀 2二玉 3二金 1二玉 6三馬 7八龍 6六玉 7六龍 5五玉 5一桂 7二馬と進行。 この局面が1:99(詰みあり) 5四金 と打てば詰みだった。 以下 同馬 同歩 同玉 5三歩 6四玉 7二桂 5三玉 7三龍 5四玉 3四飛 4四香 5三歩 5五玉 6三桂 6六玉 8四角 6七玉 7八龍まで。 変化あるも詰み。 この手順を逃して 5六飛 といったので詰まなくなった。 詰みはなくなったが後手の勝ちにかわりはない。 以下5六飛 同歩 5四金 同馬 同歩 4四玉 4三銀 3三玉 3二銀 同玉 2二金 3一玉 5三角 4二飛 同角 同玉 7二龍 5二金 4三飛 5一玉 4一飛 同玉 2五角成 と進行。 2五角成 はたぶん悪手。 ここからAI推奨の 2四桂 が指されて逆転した。 2四桂 同歩 1三香 同玉 5三飛 と詰めろを解消。 3三歩 にたいし 4三銀 同馬 同飛成 3二銀 同龍…

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第83期順位戦A級7回戦渡辺明九段VS永瀬拓哉九段

昨日(2月21日)戦われた順位戦A級渡辺明九段VS永瀬拓哉九段戦はすごい戦いだった。 終局は日付をまたいだ22日の1時1分。 手数も173手の多きを数えた。 これで渡辺九段は成績を4勝4敗としてA級残留決定。 永瀬九段は一歩後退の5勝3敗となった。 序盤は永瀬九段がうまく指してリード。 69手目の 3五飛 に永瀬九段は 3三金 とした。 ここは 3三桂 が良かったようで先手が盛り返した。 以下ねじり合いが続き終盤を迎える。 4三香 に 5二金 とかわした118手目の局面におけるAIの推奨手は 7六歩 や 7七桂。 以下桂を手に入れて 3三桂打 を決め手としてねらう。 渡辺九段の選択は 2二歩 同金 4一香成 同玉 2二馬。 そのため 5八歩成 同玉 4五香 の勝負手をくらって振出しに戻った。 渡辺九段は 4三歩成。以下 4八香成 同玉 4三銀 と進行した。 この 4三銀 が悪手で渡辺九段優勢に戻った。 ここは 4三飛 と飛車で取っておけば形勢互角。 以下 4四香 同飛 同馬 4二香 は長い戦いになりそうだ。 4三銀 以下は 6七金上 が好手。 4七歩 3八玉 5七銀 2三馬 と進行。 永瀬九段は 3二銀 と受けたが 3二角 の方が粘れた。 3三桂成 4八歩成 3七玉 3三桂 同馬 と進みそう。 3二銀 以下 4五香 5一玉 2四馬 3三桂 同桂成 4八歩成 3七玉 3三銀 同馬 同飛 2一飛成 3一桂と進行。 この局面では 4…

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SUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦2024 関西予選Bブロック決勝 上野裕寿四段VS出口若武六段

SUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦2024 関西予選Bブロック決勝 上野裕寿四段VS出口若武六段 の戦いは大熱戦で面白かった。 初手から一手30秒にしては終盤まで難しい局面が続いた。 111手目に先手の上野四段が24の角取りを放置して 4一飛 と打ち込み仕方なく出口六段は 2四歩 と角を取った。 この局面は後手玉に詰みがあり先手の明快な勝ち。 詰手順は以下のとおり。 2四飛 2三歩 2一飛成 同玉 2三飛成 3一玉 3三龍 3二金 2二角 4一玉 5三桂 同金 4二金 同金 3一角成 5二玉 4二龍 6一玉 6二金 まで 詰将棋らしい手筋も含む19手の実戦詰将棋。 詰将棋として出題されればわりと簡単に正解にたどりつくだろう。 上野四段は30秒では読み切れず 4四角 と打ってしまった。 3三角 と合駒を打たれて逆転模様。 以下 2三歩 同玉 2一飛成 2二香 2五歩 と進行する。 2五歩 のところは 2四飛 で詰みにみえるが 同角 が王手となってしまう。 そこで 2五歩 としたのだろうが、4四角 と角を取られるとはっきり先手の負けだった。 本譜は 4四角 を逃して 4四銀 と角を取ってしまったので逆転のチャンスは去った。 以下の進行 4四銀 2四歩 同角 同飛 同玉 2二龍 2三銀 2五歩 同玉 1七桂 3六玉 3九香 3七金 3九香 に対し 3七金 と打ったので詰みが生じていた。 詰手順は 2七金 同玉 2三龍 2六金 1八銀 3六…

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第74回NHK杯将棋トーナメント2回戦第5局徳田拳士 四段VS中村太地 八段

本日放映されたNHK杯将棋トーナメント2回戦第5局徳田拳士 四段VS中村太地 八段は面白かった。 紆余曲折あったが最後は徳田 四段が着地に失敗して逆転負け。 ポイントとなった局面は98手目に中村八段が 1四歩 と詰めろをかけて下駄を預けた局面。 AI評価は95-5で先手の勝ち。 この局面で徳田 四段は 4二銀 から後手玉を仕留めに行った。 結論としては後手玉に詰みはなく別の手が正着だった。 AIの推奨手は 2五玉 だった。 以下 3四銀打 1六玉 3六銀 とすすんで先手玉は必至。 先手の負けにみえる。 ところがこの局面は後手玉に詰みが生じている。 詰手順は以下のとおり 4一龍 同玉 6一飛 5一飛 同飛成 同玉 2四角 3三金 同角成 同桂 3一飛 4一角 5二金 同玉 4四桂 4三玉 4一飛成 4二金 同龍 同玉 3二金 4三玉 3五桂 4四玉 5五金 3五玉 4四角 2四玉 3三角成 1三玉 2四銀 1二玉 2二金 まで 変化有るも詰み。 30手に及ぶ詰み筋を30秒で読み切るのはムリだ。 3四銀打 のところ 2四歩 1六玉 3六銀 とすすめる手もある。 こちらも後手玉は詰みだ。 4一龍 同玉 5二銀 3一玉 1三角 4二玉 4三金 同金 2二飛 3二歩 4三銀成 同玉 3五桂 4二玉 2四角成 3三銀 同馬 同玉 2三飛成 4四玉 4三龍 3五玉 3四金 まで 2四歩 1六玉 2六銀打 とすすめる手もある。 この手に対して は4一龍 …

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第74回NHK杯将棋トーナメント1回戦第15局近藤誠也七段VS齊藤裕也四段

本日放映されたNHK杯将棋トーナメント1回戦第15局近藤誠也七段VS斎藤裕也四段戦は久しぶりに面白かった。 紆余曲折あったが最後は齊藤裕也四段が詰みを逃して逆転負け。 詰みがあった局面は133手目に近藤七段が 7三金 と桂を取って下駄を預けた局面。 この局面で斎藤四段は 4六銀 と打った。そこまでは正解。 同飛 に 6七角成 と詰めば大妙手、実際には転落の一手を指してしまった。 6七角成 などと洒落ずに 6六金 と打てば詰んでいた。 6六金 4七玉 にそこで 5八角成 と捨てる。 以下 同玉 4六桂 4七玉 3五桂 3六玉 2五銀 4五玉 5四金 3五玉 3四飛 4六玉 4四飛 3五玉 4五金 まで変化あるも詰み。 4六桂 に 同角 は 2八飛 と打って詰み。 4六銀 のところは平凡に 6六銀 と打ち、4七玉 に 4六歩 同角 5八角成 同玉 4六桂 同飛 5七金 でも詰み。 6七角成 では駒不足が明白。 せっかく 4六銀 と打ったのに暴発の一手を指してしまったのは残念だった。 さかのぼって斎藤四段の130手目 8五角 に対して 5七玉 と逃げたのが負ければ敗着の大悪手。 5四桂 が詰めろ逃れの詰めろになってしまった。 114手目に斎藤四段が 4四飛成 と角を取った局面は後手玉に詰みがあり明確に先手の勝ち。 6二銀 以下 同銀 同桂成 同玉 6三銀 同玉 6四飛 7二玉 と進行。 6二銀 に 5二玉 も 4二歩成 として長手数の詰み…

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ABEMAトーナメント2024予選Aリーグ第三試合(チーム中村VSチーム広瀬)

昨夜はABEMAトーナメント2024予選Aリーグ第三試合(チーム中村VSチーム広瀬)が放映された。 結果はチーム広瀬が 5-4で勝利。 深夜1時に及ぶ熱戦を堪能した。 その中で詰将棋愛好家目線で気になった局面を紹介🤣 まずは第5局の杉本和陽五段VS渡辺和史六段戦。 先手の杉本和陽五段の三間飛車がうまく決まって終始優勢。 ところが決め手を逸して逆転。 後手の勝ちになったが渡辺六段にも悪手が出て再逆転。 140手目に渡辺和史六段が 4四玉 と逃げた。 色々と簡単な勝ちがあったはずだがこの局面は先手の勝ちだ。 ところが杉本五段はここで大悪手を指してしまう。 杉本五段は大悪手 3二飛成 を指してしまった。 これでは先手玉が詰んでしまう。 詰手順は以下のとおり。 2八香成 同玉 1八金 2七玉 1七金 同玉 1六金 2八玉 1七銀 1九玉 2七桂 2九玉 1八角 3八玉 2六桂 4九玉 3九桂成 同玉 3八銀 まで 1八に玉を呼んで 2六桂 の形を目指すのがポイント。 実戦で応用に利く手筋である。 渡辺六段は 2八香成 同玉 と正解手順にすすんだが 1八金 が見えずに 2六銀 と打ってしまったので一瞬のチャンスは去ってしまった。 さかのぼって 3二飛成 のところでは 5五角 5四玉 と玉を遠ざけてから 3二飛成 と香を取って先手の勝ちだった。 続いて第8局 渡辺和史六段広瀬章人九段戦の詰みも印象に残った。 130手目に広瀬九段が 4五銀 と打っ…

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ABEMAトーナメント2024予選Aリーグ第二試合(チーム中村VSチーム渡辺)

昨夜はABEMAトーナメント2024予選Aリーグ第二試合(チーム中村VSチーム渡辺)が放映された。 結果はチーム中村が 5-4で勝利。 深夜1時に及ぶ熱戦を堪能した。 その中で詰将棋愛好家目線で気になった局面を紹介🤣 まずは第3局の渡辺明九段VS佐々木大地七段戦。 この将棋は先手の渡辺九段が終始優勢でどうやっても勝ちそうな局面が続いた。 大逆転負けを喫したが渡辺九段が「この将棋を負けるプロがいるかね」と嘆いたのも旨なるかなという感じ。 123手目に渡辺九段が 3五金 と打った手が悪手。 この局面は以前の楽勝局面に比べればだいぶ紛れている。 それでも 3四歩 と叩けば先手が勝っていただろう。 同飛 の一手に 4三金 同玉 4二金 同金 同と 同玉 2三飛成 として勝ち。 3五金 では先手玉に詰みが生じていた。 3五金 以下 8七飛成 同玉 6九角成 7八金 8六歩 同玉 8五歩 と進行。 ここで渡辺九段は 7七玉 と逃げたので 6八角 8八玉 7九角成 で終局となった。 この局面を観戦していて思ったのは 8七玉 と逃げたらどうするのか?だった。 以下 8六香 は 9六玉、8六金 は 8八玉 で詰まない。 実はこの局面の詰みは色々ある。 8五歩 と打った手を活かすなら 9六角 が唯一の詰み筋。 以下 同玉 は 8六金 までなので 同香 と取るしかない。 そこで 8六香 と打てば 9八玉 に 9七歩 同桂 8七金 9九玉9八歩 8九玉 7八馬 同…

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ALSOK杯第74期王将戦 一次予選 宮田敦史七段VS森内俊之九段

昨日のALSOK杯第74期王将戦 一次予選 宮田敦史七段VS森内俊之九段戦は二転三転の面白い将棋だった。 宮田先生が自玉に詰みがあったとポストしていた局面は次図。 88手目に後手の森内九段が 8九飛 と打った手に対し 6八玉 と逃げた局面である。 6八玉 のところ詰みを逃れるには 6九銀 又は 7九銀 と合駒を打つしかなかった。 しかし銀を手放してしまうと 2三金 と打たれて手も足も出なくなってしまう。 6八玉 は勝ちをよびこんだ勝負手と云えるだろう。 6八玉 に対する詰みは難しい。 森内九段が逃してしまうくらいだから当然か🤣 初手は 5八金 の捨て駒である。 同金 は 6九金 までの一手詰め。 同玉 と取るしかない。 そこで続いて 4七金 と捨てる。 4七金 に 6八玉 と逃げると 5九銀 同金 同飛成 同玉 5八金打 で詰む。 したがって 4七金 には 同玉 と取るしかない。 また 4七金 のところ 4七銀 と銀を捨てるのは 同玉 と取られて詰まない。 4七金 同玉 4九飛成 と進行する。 受けは逃げる手がふたつと合駒が二通り。 まずは逃げる手。 5六玉 は 4六金 同角 4七銀 まで。 3六玉 は 3七桂成 同桂 2七銀 2六玉 3六金 1五玉 1四歩 まで。 次に合駒。 4八金 は 5七桂成 同銀 3八銀 3六玉 4五銀 2六玉 2七と 1六玉 2六金打 1五玉 1四歩 まで。 4八銀 も 5七桂成 同銀引 3八銀 3六玉 4五銀 2…

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第72期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦羽生善治九段VS佐藤康光九段

昨日は藤井聡太王座への挑戦権を決める本戦トーナメントがスタート。 将棋連盟の会長と前会長が初戦から激突した。 早くも将棋youtuberたちが動画で解説してくれている🤣 持ち時間は各5時間。 順位戦の6時間を除けば竜王戦と並ぶ長時間の対局レギュレーションとなっている。 本局も終局時間は21時32分と手数は長くないが両者フルに時間を使った力の入った対局となった。 本局のポイントはふたつ。 一つ目は62手目に佐藤九段が 7八馬 と金を取った局面。 羽生先生はこの局面で 2二桂成 と銀を取ったので劣勢に陥った。 正着は 7八同銀でほぼ互角でやや先手良しが続いていた。 問題は、なぜ 同銀 としないで 2二桂成 と指したのかである。 2二桂成 は以下 7九龍 と銀を取られ、3二成桂 に 6八龍 と王手角取りをかけられて悪そうなのはひと目でわかる。 まさか王手角取りを見逃したとも思えないのでどこに誤算があったのか? 7八同銀 同龍 3九玉 の想定局面で何か嫌な手があったのか? 日経新聞の観戦記では、棋譜やAI分析を聞いても分からない深層に切り込んで欲しい。 もう一つは言うまでもなく終盤。 75手目に羽生九段が 2三飛成 と飛車を敵陣に成りこんだ局面。 この局面で佐藤九段は持ち時間を投入して 3二龍 と切った。 ここでは 4五馬 も有力だったが 3二龍 が正着。 以下一本道で問題の局面を迎える。 3二龍 と切れば他の応手は詰みで先手に選択の余地はない。…

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第82期名人戦七番勝負第二局豊島将之九段VS藤井聡太名人

第82期名人戦七番勝負第二局は既報の通り後手の藤井聡太名人が126手で勝ち2連勝。 防衛にあと2勝となった。 終局時間は21時19分と遅かった。 昨夜オレが出かけた夕食休憩時点では先手の豊島九段が良さそうだった。(個人の感覚です🤣) 帰って来たらほどなく終局。 第1局に続いて2局続けて終盤の大逆転だった。 ポイントは114手目に藤井名人が 6二香 と合駒した局面。 この局面は豊島九段の勝ち。 結論から言うと、5二金 なら勝ち、5二銀 は千日手、その他は第2ラウンド🤣 藤井名人は 5二銀 に 7二銀 と打って千日手ならしょうがないと思っていたはずである。 5二金 も簡単に勝ちというわけではなく、2五桂 と打たれた場合の詰みをまず読み切らなければならない。 (さほど難しくはないが手数の長い詰み) 5二銀 に 2五桂 なら比較的簡単に詰む。 次に 5一香 と受けられたらどうするかも読み切らねばならなかった。 同金 は 2五桂 で後手玉が詰まず負け。 同龍も 3七桂成 同玉 1五角 から 5一 龍を抜かれて負けである。 5一香 には 6一金 と銀を取るのが唯一の勝ち筋。 8二玉 なら 6二角成 が詰めろになり勝ち。 同玉 には 4二桂成 として勝ちだが簡単ではない。 豊島九段は 5二銀 7二銀 のあと、3六金 と立って金取って 1五角 の筋を消した。 これで後手に手がなければ勝ちだったが 5九角 があり形勢は互角に戻ってしまった。 ここで 3七歩 なら…

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