第七期叡王戦五番勝負第三局藤井聡太叡王 VS 出口若武六段

昨日の叡王戦五番勝負第三局 藤井聡太叡王 VS 出口若武六段 をふりかえる。 第二局もスリリングだったが昨日の将棋も同様だった。 序中盤は藤井叡王ペース。 藤井曲線を描いて終局かなと思いながら観戦。 72手目に出口六段は 6二金 と寄った。 この局面は先手優勢。 AIの推奨手は 7二銀成。 藤井叡王が 6五桂 と跳ねると評価値逆転。 後手の優勢に転じた。 6二金 以下の指し手 6五桂 9二角 7四歩 4二玉 7三歩成 6一金 7四歩 7三桂 同桂成 6五角 ほぼAIの推奨とおり82手目 6五角 まですすんだ。 後手の 6五角 は 8七の銀取りと 4七角成 同金 3八銀 の両取りを狙った厳しい手。 AIの推奨手は 8九飛 や 7八銀 に揺れて最終的には 7八銀 になった。 むずかしい局面だったのだろう。 6五角 以下の指し手 7八銀 7七歩 同玉 7六歩 6八玉 4七角成 同金 3八銀 90手目に出口六段が 3八銀 と打って両取りをかけた局面。 AIの先手推奨手は 6三成桂 だったが藤井叡王は 2一飛 と打った。 局後のインタビューで藤井叡王は 2一飛 の局面は負けと思ったと語っていた。 ここで 5二金 なら後手の勝ちだったが 3一金打 と指してしまった。 1一飛成 で評価値再逆転。 2一飛 以下の指し手 3一金打 1一飛成 5二銀 6五香 1一飛成 に対して出口六段は 5二銀 と受けた。 4七銀成 では 6三成桂 が厳しくて負け…

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第35期竜王戦1組 ランキング戦決勝 永瀬拓矢王座 VS 佐藤天彦九段

昨日の竜王戦1組 ランキング戦決勝 永瀬拓矢王座 VS 佐藤天彦九段 も凄みがあった。 1位の賞金は470万で2位は116万。 その差は354万もある大きな勝負。 二転三転の終盤が見どころだが、中盤も凄い。 後手の佐藤天彦九段が86手目に5四角 と巨砲をすえて先手の玉頭にねらいを定めた。 受けが難しそうにみえる。 以下の指し手 8二角 7四飛 5五歩 先手は5四角をどかしにかかる。 以下 7六歩 6六銀 6五歩 5七銀 8五歩 6八銀 7五桂 7六金 8六歩 8八歩 4六歩 5八銀 6三角 角取りを放置して攻めまくりようやく 6三角 と引き上げた。 角を取ったらつぶれるから受けたのだろうが凄まじい攻防である。 102手目 6三角 以下の指し手 5四歩 8七桂成 同歩 7六飛 7七歩 8七歩成 同玉 5六飛 5七香 9六金 112手目 9六金 の局面は先手玉は風前の灯火で後手玉は盤石。 後手がかなり勝ちやすそう。 先手が勝つとしたら攻めをかわして入玉くらいかなと思いながら観戦。 9六金 以下の指し手 同香 同角 9七玉 8三香 8五歩 同香 9九桂 この局面におけるAIの推奨手は 5七飛成。 同銀上 なら 7八角成 8七歩 8六歩 9八金 8七歩成 同桂 8六歩 9六玉 8三香 で寄り。 9六玉 と角を取られたら 4八龍 と金を取って勝ちということなんだろうが上部が開けていて指しにくい。 そんな手は指せないよと思ってみていたら案の定…

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第35期竜王戦1組 出場者決定戦 八代弥七段 VS 丸山忠久九段

昨日の竜王戦1組 3位出場者決定戦 八代弥七段 VS 丸山忠久九段は凄みがあった。 91手目に先手の八代七段が 3一飛成 として後手玉に 4二龍 まで一手詰めろをかけた。 対する後手の丸山九段は 4六馬 と銀を取って王手飛車。 八代七段は 5七歩 と打って受けた。 この局面で、なんと先手玉には詰みが発生。 丸山九段は正確に詰上げた。 詰手順は以下の通り。 5七同馬 6八金 7八歩 同玉 6六桂 同金 7七歩 同金 6九角 8九玉 7九金 8八玉 7八金 同金 6六馬 7七銀 7六桂 8九玉 7八角成 同飛 8八銀 同銀 同桂成 同飛 同馬 同玉 5八飛 まで120手で丸山九段の勝ち 以下は 7八桂(角・銀合も同じ) 7九銀 7七玉 6八飛成 8六玉 7六金 同玉 6五銀 8六玉 7六金 まで 7八金 7七金 同玉 7六金 同玉 7八飛成 6六玉 6五銀打 5七玉 5六金 まで 7七玉 7六金 同玉 7八飛成 6六玉 6五銀打 5七玉 5六金 まで 変化あるも容易な詰みで投了もやむを得ない。 5七同馬 と指してから詰上がりまでの手数は40手を越える。 実戦ではまず例をみない凄みのある勝ち方だった。 93手目に八代七段は5七歩と打って詰み筋にはいったわけだが単に6八金と打てば詰まなかった。 詰めるとすれば次の手は7八歩だが同玉でも6九玉でも詰まない。 馬が一歩5七馬と近づいたため詰みが発生した。 八代七段は、単に6八金では6二玉と逃げられて飛…

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NHK杯戦 豊島将之九段VS羽生善治九段

今週のNHK杯将棋トーナメント準決勝豊島将之九段VS羽生善治九段の戦いは久しぶりに面白かった。 AIの評価値が何度も入れ替わった。 ハイライトはやはり終盤。 140手目に羽生九段が 4五馬 と王手飛車取りをかけた。 この局面のAI評価値は93:7で先手勝ち。 4五馬以下の進行は 6七銀 1八馬。 142手目に羽生九段は 1八馬 と飛車を取ってひらきなおった。 この局面のAI評価値は 42:58 と逆転して後手有利のご託宣。 たしかに 6七銀 は危なっかしく、8八玉 または 7七玉 と逃げそうなもの。 実際そちらの方が良かったようだ。 1八馬 以下の進行 2一金 2八飛 5八桂 同銀不成 1八香 この局面のAI評価値は25:75で後手優勢。 ところが、次に羽生九段が 6七銀不成 と指すと評価値は 98:2 と先手勝ちに転じた。 6七銀不成 が敗着となり以下手数は伸びたが先手玉に寄りはなかった。 ではどう指せば良かったのか? 148手目の第一感は 6九銀不成。 とれば 5七桂 で 5九玉 なら 4七桂 まで。 7九玉 も 8八銀 までなので 7七玉 と逃げるしかない。 そこで 8八銀 7六玉 8四桂 8五玉 9六桂 とする。 以下 同玉 は 9五歩 まで一手詰。 7六玉 は 7七銀成 同桂 8七飛成 同玉 8八飛成 7六玉 8四桂 までで詰むので 8四に合駒するしかない。 8四銀 は 同飛 と取られて以下 同玉 7二桂 8五玉 8四歩 7…

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第80期順位戦C級1組11回戦長谷部浩平四段VS渡辺和史四段

昨日(3月10日)戦われた順位戦C級1組で最後まで残った長谷部浩平四段VS渡辺和史四段戦はすごい戦いだった。 渡辺和史四段とは角落ちで教わったことがある。 渡辺和史四段指導対局会 @棋楽 感想は強い先生だなぁ 爾来注目し応援している。 昨日の長谷部四段との戦いは矢倉(模様)。 序盤から苦しい戦いだったように見えた。 これはダメか、服部先生の昇級かなと思った局面から執念の一手が出る。 良い手かどうかわからないが玉頭に香を打ちつけた。 同飛 と飛車を近づけて 5六角! 5六角以下の進行 6八香 8七歩 9五金 5八金 6九銀 同金 同玉 2九角成 9八飛 5六馬 6七桂 5二銀 3二角成 3五銀 3三成銀 7六歩 同馬 7五歩 3二馬 7六桂 8六桂 8八歩成 同銀 6八桂成 同玉 5七金 7七玉 3三飛 7四桂 同馬 後手は勝負勝負とあやしい手を連発してせまるが敗勢にかわりない。 この局面ははっきりしていて、3三馬と飛車を取れば先手勝ち。 長谷部四段は7六銀と打たれるのを嫌ったのか 8四金打 と指した。 そのため 3二飛 と馬を取られてとうとう逆転模様。 7四桂 同馬 以下の指し手 8四金打 3二飛 8七銀 6七金 3二飛 に対し 7四金 と馬を取ると 5九角 と打たれて詰んでしまう。 8四金打が悪手であった所以である。 しかたなく 8七銀 と守った。 棋勢の好転したこの局面で後手は 6七金と悪手を指してしまう。 長…

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NHK杯戦 羽生善治九段VS斎藤明日斗五段

今週のNHK杯将棋トーナメント羽生善治九段VS斎藤明日斗五段の戦いは久しぶりに面白かった。 AIの評価値が何度入れ替わったか分からない(笑) 序盤は無定型な力戦から後手の斎藤五段が戦機をとらえ端を強襲。 優位に立った。 さすがに羽生先生の顔面受けはムリがあったのではないだろうか。 9七角成以下 同桂 9六歩 8八玉 9七歩成 同玉 8五飛 8六銀 6五飛 6六歩 6四飛 4五歩 5五歩 4四歩 5四銀 5五歩 同銀 5三歩 と進行。 この局面で後手が 4二金右 と指すと評価値は後手から先手に振れる。 かといって 5三歩 をとると 4五桂 と飛ばれてややこしいので寄るくらいだと思う。 AIはどの手が正解だというのだろう(笑) 5三歩以下 4二金右 7五銀 9五香 9六歩 9四飛 8五角 8五角 と飛車銀両取りに打たれた局面は後手が悪そうだ。 7六角でも悪そうだし、何が悪かったのだろう? 9五香 のところは 9六歩 として、同玉なら 9五香。 9五香 を 同玉 なら 8三桂 で良し。 8六玉 なら 8二香 を打ってから飛車を逃げておけば良かったようだ。 8五角以下 9六香 8八玉 9八香成 7七玉 7四飛 同銀 同歩 7一飛 6二玉 8一飛成 7二銀打 9一龍 5六歩 7九角 8一香 7三歩 同玉 9三龍 6二玉 7三歩 6五桂 7三歩 を二度も利かされて困ったかなと思ったところで 6五桂 が飛んでくる。 AI評価値は先手良しだが気…

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第15回朝日杯将棋オープン戦二次予選 羽生善治九段VS青嶋未来六段

12月9日(木)に戦われた第15回朝日杯将棋オープン戦二次予選 の羽生善治九段VS青嶋未来六段戦は面白かった。 一局目は98手で千日手が成立。 先後を入れ替え、青嶋六段先手で指しなおし局が始まった。 一局目と同様に青嶋六段は振飛車。 激戦の末クライマックスを迎える。 後手の羽生九段が104手目に4七銀成とふみこんだ。 この局面は先手優勢。 正確に指せば勝てそうだ。 以下の進行 3一角 2二香 5八金 先手玉に詰みはなく、攻防に効く手段が必要。 以下の進行 3八成銀 同玉 4九銀 羽生九段は王手を繰り出していく。 4九銀 には 2八玉 と逃げれば詰みはない。 しかし、3八飛 1七玉 4三金 が詰めろ逃れの詰めよで攻防が逆転する。 4九銀 はとるしかない。 以下の進行 4九同玉 5八成銀 同玉 5七歩 5七歩 に対し 6七玉 は 6九飛 6八歩 6六歩 同玉 6八飛成 6七歩 5六金 同玉 4五金 6六玉 5五金打 で詰み。 4七玉 も 4八金 5六玉 4五金 6七玉 6九飛 6八角 6六歩 7八玉 6七金 6九玉 5八歩成 7九玉 6八と 8八玉 7八と 9八玉 8九角 で詰み。 他の逃げも簡単に詰む。 5七歩 は 同玉 と取るしかない。 以下の進行 5七同玉 5六歩 さらに羽生九段の王手が続く。 ここで青嶋六段は 5六玉 と取ってしまった。 これでは詰みだ。 詰手順は 4五金 4七玉 4…

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第80期順位戦B級2組6回戦谷川浩司九段VS高崎一生七段

10月27日水曜日に指された第80期B級2組順位戦6回戦は熱戦が多かった。 オレが一番印象に残ったのは谷川浩司九段と高崎一生七段の一戦。 谷川先生の居飛車に後手の高崎七段の作戦は三間飛車。 普通に指して先手の谷川先生が優勢になった。 66手目に後手の高崎七段が 3二歩 と馬筋をとめた。 ここで谷川先生は4三香成と指したがこれがつまずきの始まりだったと思う。 素人がみても第一感は 7五桂。 なんで谷川先生ともあろうものがこの手を逃すのだろう。 4三香成以下は 5一飛 1二馬 7五桂と進行。 逆に 7五桂 と打たれてしまった。 それでもまだ悪くなったわけではない。 打たさない方が分かりやすかった。 昔の谷川先生ならこういう類の手は絶対逃さなかったと思うわけである。 7五桂以下の指し手 6七桂 同桂成 同玉5四歩 4二銀 7七歩成 同銀 7五桂 5七玉 5五歩 5一銀不成 5六歩 同玉 5五歩 4六玉 3四桂 3五玉 5四金 悪い手が続いて難しくなっている。 88手目に 5四金 と出られて 2五金 3四玉 4五銀 までの詰めろ。 ここで谷川先生は1時間以上時間があるのに 4四成香 と引いてしまった。 それでは簡単な詰みだ。 同金 同玉 5三銀 まで92手で投了。 いったいどうしてしまったのだろう? 3七桂、4四飛、2五桂 まだ色々なねばりがあり、高崎七段は一分将棋。 何が起きても不思議でない局面で簡単な詰みを見逃して(?)最悪な手を指し…

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NHK杯戦 近藤誠也七段VS八代弥七段

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントは先週に続き面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 投了一手前に八代七段が大落手を指して急転直下の終局となった。 114手目の5五角が一手ばったりの大悪手。 1五金と出られて投了。 以下は簡単な9手詰めとなる。 感想戦でもやっていたが、1六歩 同銀 として 7九角 7八玉 6九角 8九玉 8八歩 9八玉 9六香 として 同金 でも 9七金打 でも 2六飛成 で勝ちだった。 7九角 に 7七玉 も 2六飛成 で後手の勝ち。 5五角 は無効な手で八代七段にとっては非常に残念な一局。 序盤から中盤は近藤七段ペース。 徐々にリードをひろげ73手目の 1三桂成 がかっこいい手。 同香 や 同桂 は 3七角 と銀を取られてしまう。 しかたなく 3一玉 と逃げたが先手有利がはっきりした。 1三桂成 以下 3一玉 2六飛 同銀成 1二歩 7五歩 6七銀 4五歩 2四角 2五成銀 4二角成 同玉 4三金 同金 同歩成 同玉 6一角 3三玉 と進行。 この局面のNHK AI 評価値は 94-6 で先手良し。 だが、そこまで良いとは思えない。 平凡に 2三金 と打って 4二玉 に 1一歩成 として先手良しとは思うが94-6は行き過ぎな感じ。 決定的な決め手があるのだろうか? 本譜は 1一歩成 1三桂 4四銀と進行。 1一歩成でNHK AI 評価値は 62-38。 1三桂で 83-17 と大きく変化する。…

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NHK杯戦 飯島栄治八段VS広瀬章人八段

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントは先週に続き面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 NHKの将棋AI評価値はおかしく、サスペンスが増す(笑) 最後に飯島八段が大落手を指して急転直下の終局となった。 169手目に飯島八段は7三桂と打った。 この一手前の局面のNHKAI評価は96-4で先手の勝ち。 後手が7三同角ととると9-91に大逆転。 たしかに168手目の局面は先手良し。 8二香成 6三金 6二桂成 などの攻めがある。 一度 3八歩 と打って龍をどかせておく手も有力。 7三桂 以外なら先手の勝ち。 7三角を同歩成 として角を取ると 6五桂 と打たれて詰み。 しかたなく 5五歩 と逃げ道をあけたが無効。 6五桂 5六玉 に 6四金 と打たれて受け無し。 投了となった。 とにかく桂だけは渡してはいけない駒だった。 ちなみに 6四金 のところは 4六龍 と切って詰み。 以下 同銀 なら 3四角 と出て詰み。 同玉 は 4五金 3七玉 5五角 と出て詰みだ。 序盤は相掛かりから激しい出入りがあった。 たぶんほぼ互角の取引なのだろうがアマにはよくわからない。 本譜はこの局面から 2四歩 同飛 3五角 3四飛 2二金 3五飛 3三桂 と進行。 すこし先手が良い感じがしたが、その後広瀬八段にうまく受けられた。 が、途中は再度飯島八段が優勢になったと思う。 84手目の 2六歩 に対し 2八歩 と打ったところで、7五歩 8四…

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