第80期順位戦B級2組6回戦谷川浩司九段VS高崎一生七段

10月27日水曜日に指された第80期B級2組順位戦6回戦は熱戦が多かった。 オレが一番印象に残ったのは谷川浩司九段と高崎一生七段の一戦。 谷川先生の居飛車に後手の高崎七段の作戦は三間飛車。 普通に指して先手の谷川先生が優勢になった。 66手目に後手の高崎七段が 3二歩 と馬筋をとめた。 ここで谷川先生は4三香成と指したがこれがつまずきの始まりだったと思う。 素人がみても第一感は 7五桂。 なんで谷川先生ともあろうものがこの手を逃すのだろう。 4三香成以下は 5一飛 1二馬 7五桂と進行。 逆に 7五桂 と打たれてしまった。 それでもまだ悪くなったわけではない。 打たさない方が分かりやすかった。 昔の谷川先生ならこういう類の手は絶対逃さなかったと思うわけである。 7五桂以下の指し手 6七桂 同桂成 同玉5四歩 4二銀 7七歩成 同銀 7五桂 5七玉 5五歩 5一銀不成 5六歩 同玉 5五歩 4六玉 3四桂 3五玉 5四金 悪い手が続いて難しくなっている。 88手目に 5四金 と出られて 2五金 3四玉 4五銀 までの詰めろ。 ここで谷川先生は1時間以上時間があるのに 4四成香 と引いてしまった。 それでは簡単な詰みだ。 同金 同玉 5三銀 まで92手で投了。 いったいどうしてしまったのだろう? 3七桂、4四飛、2五桂 まだ色々なねばりがあり、高崎七段は一分将棋。 何が起きても不思議でない局面で簡単な詰みを見逃して(?)最悪な手を指し…

続きを読む

NHK杯戦 近藤誠也七段VS八代弥七段

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントは先週に続き面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 投了一手前に八代七段が大落手を指して急転直下の終局となった。 114手目の5五角が一手ばったりの大悪手。 1五金と出られて投了。 以下は簡単な9手詰めとなる。 感想戦でもやっていたが、1六歩 同銀 として 7九角 7八玉 6九角 8九玉 8八歩 9八玉 9六香 として 同金 でも 9七金打 でも 2六飛成 で勝ちだった。 7九角 に 7七玉 も 2六飛成 で後手の勝ち。 5五角 は無効な手で八代七段にとっては非常に残念な一局。 序盤から中盤は近藤七段ペース。 徐々にリードをひろげ73手目の 1三桂成 がかっこいい手。 同香 や 同桂 は 3七角 と銀を取られてしまう。 しかたなく 3一玉 と逃げたが先手有利がはっきりした。 1三桂成 以下 3一玉 2六飛 同銀成 1二歩 7五歩 6七銀 4五歩 2四角 2五成銀 4二角成 同玉 4三金 同金 同歩成 同玉 6一角 3三玉 と進行。 この局面のNHK AI 評価値は 94-6 で先手良し。 だが、そこまで良いとは思えない。 平凡に 2三金 と打って 4二玉 に 1一歩成 として先手良しとは思うが94-6は行き過ぎな感じ。 決定的な決め手があるのだろうか? 本譜は 1一歩成 1三桂 4四銀と進行。 1一歩成でNHK AI 評価値は 62-38。 1三桂で 83-17 と大きく変化する。…

続きを読む

NHK杯戦 飯島栄治八段VS広瀬章人八段

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントは先週に続き面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 NHKの将棋AI評価値はおかしく、サスペンスが増す(笑) 最後に飯島八段が大落手を指して急転直下の終局となった。 169手目に飯島八段は7三桂と打った。 この一手前の局面のNHKAI評価は96-4で先手の勝ち。 後手が7三同角ととると9-91に大逆転。 たしかに168手目の局面は先手良し。 8二香成 6三金 6二桂成 などの攻めがある。 一度 3八歩 と打って龍をどかせておく手も有力。 7三桂 以外なら先手の勝ち。 7三角を同歩成 として角を取ると 6五桂 と打たれて詰み。 しかたなく 5五歩 と逃げ道をあけたが無効。 6五桂 5六玉 に 6四金 と打たれて受け無し。 投了となった。 とにかく桂だけは渡してはいけない駒だった。 ちなみに 6四金 のところは 4六龍 と切って詰み。 以下 同銀 なら 3四角 と出て詰み。 同玉 は 4五金 3七玉 5五角 と出て詰みだ。 序盤は相掛かりから激しい出入りがあった。 たぶんほぼ互角の取引なのだろうがアマにはよくわからない。 本譜はこの局面から 2四歩 同飛 3五角 3四飛 2二金 3五飛 3三桂 と進行。 すこし先手が良い感じがしたが、その後広瀬八段にうまく受けられた。 が、途中は再度飯島八段が優勢になったと思う。 84手目の 2六歩 に対し 2八歩 と打ったところで、7五歩 8四…

続きを読む

第92期棋聖戦五番勝負 第3局 渡辺明名人VS 藤井聡太棋聖

既報のとおり第92期棋聖戦五番勝負 第3局 ▲渡辺明名人 △藤井聡太棋聖戦は100手で後手の藤井棋聖が勝って初防衛。 史上最年少でのタイトル防衛と九段昇段を果たした。 途中では渡辺名人優位の局面もありストレート負けは残念。 捲土重来を期待します。 ハイライトはやはり終盤。 68手目に藤井棋聖は 4五歩 と打った。 この局面でのAI推奨手は 2五銀打。 4五歩 では 4四桂 と打たれてしまう。 以下 同角 と取るほかはなく、2一飛成 4二金 と進行してほぼ互角。 感想戦では 4二金 ではなく 2二金 1一龍 2三金 として 1二龍 なら 2二金 で千日手か?などという検討がなされていた。 4四桂 以外にも 3三歩 も有力。 やはり 4五歩 はやや疑問で 2五銀打 とすべきだったと思われる。 チャンスとみたのか渡辺名人は 4四桂 とは指さず 2二飛成 と踏み込んだ。 同金 の一手に渡辺名人は 5四歩 と取り込んだ。 藤井棋聖は 5四歩 を 同銀 と取ったので 3一角 と打たれて劣勢に陥った。 この局面での正着は 4六歩。 以下 3一角 なら 2六角 として 7五角成 なら 4九飛 と打つ。 5九桂 なら 同角成 で詰み。 6八玉 なら 7九銀 5七玉 4七歩成 として 同金 なら 5九飛成 で詰み。 5六玉 なら 6四銀打 で勝ち。 2六角 に 5三金 6一玉 2二角成 なら 7二玉。 5四同銀 以下の進行 3一角 5三歩 4四金 7三…

続きを読む

第6期叡王戦挑戦者決定戦斎藤慎太郎八段VS藤井聡太二冠

本日指された叡王戦の挑戦者決定戦は114手で藤井聡太二冠の勝ち。 ハイライトは中盤の76手目6五桂と飛んだ局面。 先手の斎藤慎太郎八段が2四銀から1五歩と妙手を繰り出して若干良さげな局面から藤井二冠は4七歩から6五桂と勝負手を繰り出した。 この局面のAI評価は先手優勢で推奨手は1四歩。 先手が6八銀と引くとAI評価は逆転。 以降は藤井二冠が優勢をキープしてゴールインした。 局後の感想で斎藤八段は堅実にいったつもりだったが直後の4四角を見落としたとのこと。 6五桂以下の進行 6八銀 4四角 同角 同角 同飛 1四歩 4六角 1三歩成 3一玉 82手目の4六角で藤井二冠は優勢を意識したそうです。 中村九段のこの局面での解説は、以下 2三と 1九香成 3三銀不成 同金 同と で後手玉に必至がかかるが先手玉は詰みとのこと。 詰め手順は以下のとおり。 5七銀 6九玉 6八銀成 同金 同角成 同玉 7七銀 同桂 同桂成 同玉 6五桂 8八玉 7七銀 9七玉 9六香 同玉 8六金 同歩 同銀成 まで 2三と は負けなので斎藤八段は以下 6六角 2四角 3五桂 とねばった。 以下は4六飛 4七金 同飛成 同玉 3五歩 2三歩 1三香 同香成 同角 と安全運転。 1一飛 2一桂 5八玉 3六歩 1九飛 5七香 と進行。 5七香 に 6九玉 と逃げたいが 8八銀 で必至。 同角 なら 5八銀 7九玉 6九金 まで。 同金 なら 5八金 7九玉 6八…

続きを読む

第80期A級順位戦 1回戦永瀬拓也王座VS広瀬章人八段

昨晩戦われた第80期A級順位戦 1回戦 ▲永瀬拓也王座VS △広瀬章人八段戦にはびっくり。 序盤は永瀬王座が両端位取りの大胆な作戦からリードを奪う。 二転三転のすえ終盤は広瀬八段が逆転して必勝形となる。 ハイライトはやはり終盤。 129手目に永瀬王座が 8四桂 と打った。 この手に対しては 6三玉 と逃げておくのが簡明だったが広瀬八段は 同龍 と取った。 そこで 8七桂 と打ったのが勝負手だった。 広瀬八段は 4六桂 と打って詰めろをかけた。 4六桂 で勝ちだが、4八金 と打ってしまう手もあった。 以下 6八玉 7六桂 同金 同銀 と進行して勝ち。 受ける手無しとみたのか永瀬王座は 6一銀 と王手をかけ広瀬八段は 6三玉 と逃げた。 永瀬王座が 7五桂 と銀を取った局面が本局のクライマックス。 正解は 7五同龍。 以下 5二銀打 6四玉 と逃げ、7六桂 は同龍、6五香 は 5五玉 と逃げてつかまらない。 5二銀打 を 同金 と取ってしまうと 同銀不成 同玉 4一龍 6三玉 5三金 6四玉 5四金 同玉 4三龍 6四玉 6五香 同龍 同馬 で詰まされてしまう。 嫌な筋があったのか広瀬八段は 5三玉 と逃げてしまった。 これで一見逃げ切りに見える。 が、実戦ではめったに見ないうまい手があった。 本譜は 4三歩成 同金 4四銀 まで。 最後の 4四銀 がたぶん広瀬八段が見落とした「玉の逃げ道に捨て駒」の手筋。 同金 は 5一龍 4三玉 4二龍…

続きを読む

第80期順位戦B級1組3回戦屋敷伸之九段VS藤井聡太二冠

6月13日日曜日に指された第80期B級1組順位戦3回戦屋敷伸之九段vs藤井聡太二冠戦 はすごかった。 ハイライトはやはり終盤。 いくつか印象に残った手があり、一つ目は84手目の7五桂。 たしかにAIは7五桂を推奨するが以下本譜同様6三桂成と進行してきわどい局面になる。 5二銀と引けば先手からたいした手があるようには思えない。 敢えて危険な道に踏み込む7五桂はすごく印象に残った。 以下 6三桂成 6七桂不成 同金 6三金 7二角 6六桂 と進行。 印象に残った手その2、6六桂 が飛び出した。 7二角 の局面ではあの将棋を思い出した。 驚愕の 7七飛成 が出た石田直裕五段との竜王戦。 この局面になれば 6六桂 は思いつかない手ではない。 AIの推奨手でもあったが正確に正解手が繰り出されるのはすごい。 以下 同金 8七飛成 7八銀 8九金 6九玉 6六馬 同銀 と進行。 この局面は 6七銀 で終了にみえる。 が、AIの候補手に 6七銀 はなく藤井聡太二冠も違う手を指した。 6七銀 は何が悪いのか? 後手玉に詰みはなく、起死回生の一手があるようにもみえない。 3八飛 など受ける手もあるが 7九金 で無効にみえる。 諸賢の研究を待ちたい。 【追加研究】 6七銀には 3三歩成 とする。 同金は 同飛成 同玉 5一角 4二金 同角成 同玉 3四桂 5二玉 6三角成 同玉 5五桂 7三玉 6三金 8四玉 7三銀 9三玉 8四金 同龍 同銀成 同玉 7四金…

続きを読む

第80期A級順位戦 1回戦 佐藤康光九段VS羽生善治九段

昨晩戦われた第80期A級順位戦 1回戦 ▲佐藤康光九段VS △羽生善治九段戦はすごい将棋だった。 序盤・中盤は後手の羽生九段がリード。 そのままゴールインかと思ったがさにあらず。 一度は佐藤九段サイドに形勢が傾いた。 ハイライトはやはり終盤。 104手目に後手の羽生九段が8五桂と打った。 8五桂は詰めろ。 詰手順は 9七金 同歩 同歩成 同香 同香成 同桂 9六桂 9九玉 9八歩 同玉 8九銀 同玉 7七桂不成 9九玉 9八歩 同玉 8九銀 9九玉 9八飛 まで 持駒に飛金銀桂があれば詰み形である。 したがって簡単に先手が勝ちと言える局面ではなかった。 佐藤九段は 4二角成 同玉 8二飛 と打ってしまったので 5二角 と打たれて負けになった。 対案としては、8二飛 でなく 3三歩成 とする。 5二玉 は 4二飛 で詰み。 5一玉 は 3一飛 6二玉 9一飛成 と香を取って詰めろを解消。 5三玉 は 8三飛 6二玉 8五飛成 と桂を取って詰めろを解消。 3三歩成 に逃げる手はなさそう。 3三歩成 には 同玉 とするしかない。 そこで 4五桂 と打つ。 同馬 は 同金 で先手玉の詰めろが消え後手玉はほぼ受けなし。 2四玉 は 3四金 同玉 3二飛 2四玉 3三飛成 1四玉 1五歩 で詰み。 2二玉 は 3三金 で詰み。 3二玉 は 3三歩 4一玉 3一飛 同玉 3二金 まで詰み。 4五桂には 4二玉 と逃げるしかない。 そこで 8二飛 …

続きを読む

第6期叡王戦 本戦2回戦斎藤慎太郎八段VS渡辺明名人

さきほど終局した叡王戦斎藤慎太郎八段VS渡辺明名人戦は面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 終盤は二転三転。 最後は渡辺名人が受けを誤り頓死負け。 96手目に渡辺名人は6七銀と打った。 この局面のAI評価は83-17で先手の勝ち。 斎藤八段が7九玉と引くと14-86に大逆転した。 以下 5八銀成 2四飛 と進行。 渡辺名人は残り時間が6分あったのに 2三金打 としてしまった。 2三金打 で評価値は再逆転。 99-1で先手勝ち(即詰みあり)となった。 2四飛 に対する正しい応手は 2三桂。 それなら以下 3三桂成 同玉 4五桂 には 4四玉 と逃げて 3五金 には 同桂 があるから詰まなかった。 最後は渡辺名人にしては珍しい頓死負け。 斎藤八段もたぶん盲点に入って読み落としていたのだと思う。 詰まないのわかっていれば 6七銀 は 同金 と取っていただろう。 これだから人間の指す将棋は面白い

続きを読む

NHK杯戦飯島栄治八段VS大橋貴洸六段

本日放映されたNHK杯テレビ将棋トーナメントは久しぶりに面白かった。 ハイライトはやはり終盤。 NHKの将棋AI評価値はおかしく、サスペンスが増す(笑) 85手目に飯島八段は4一銀と打った。 この局面のNHKAI評価は5-95で後手の勝ち。 後手が6一玉と引くと19-81に低下した。 たしかにこの局面は後手良しだが 5三玉 が最善で 6二玉 が次善だと思う。 後の展開でそれがわかる。 6一玉 以下 5八金 4七角 7九玉 5八角成 8八玉 5九飛成 9六歩 と進行。 この局面は既にあやしい。 6七金 と指すと 同金 同馬 のあと後手玉は詰み。 金は渡せない。 6八金は 8九金 と打たれて千日手だろう。 一手空くと 7四桂 と詰めろに打たれてあわてそうだ。(受けて勝ちだが) 4一銀に対し 5三玉 と逃げておけばこんなややこしいことにはならなかった。 85手目の局面は後手勝ちだったのになぜ少し紛れたのか? 4七角 はカッコ良かったが、4七銀成 としておいた方が良かったのでは? 以下は本譜と同様に進行するだろうが持駒に角があるのとないのとでは大違い。 そのあたりの攻防が明暗をわけた。 9六歩 以下は 7六桂 9七玉 9九龍 9八金 8九龍 と進行。 AI評価は97-3で先手勝ち。 ところが飯島八段が 7三歩 と指すと19-81に大逆転。 7三歩 のところは 7四桂 の方がマシだったが受けられるとどちらにせよ先手困っていた。 本譜は 7三歩…

続きを読む